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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第6章 派生②一松&十四松END



 一方私はダダっ子モードに突入。

「可愛がっていただけないのなら、また逃げますよー!!
 単独行動して、お金を稼いじゃいますからーっ!!」

「またそう言う……」

 苦言を呈しかけ、一松さんが止まる。

「…………」

 一松さんは私を見下ろし、考え込む表情になる。

「十四松さんーっ!!」
「松奈~。ど、どうしよう。どうしよう、一松兄さん……」

 そこでフッと正気に戻る。
 薬の効力が切れたっ!!

「た、助かったー!!」

 純度の低いやつを渡されたのか、イヤミ社長にだまされたのか。
 あの嵐のような衝動は去った。もう正気だ。二人をご主人様と仰ぐ気はゼロだ。

「えー、もう戻っちゃったの?」
 ガッカリしたような十四松さん。
 おズボンに意味ありげな膨らみが見える気がするが幻覚だ。絶対に幻覚だっ!!

「いやあ、人間、やっぱり中身ですよね。変なお薬に頼っちゃいけないですよ」

「何だかよく分からないけど、松奈は好きー!!」
 と、十四松さんと笑い合って。

 そして。

「十四松、松奈を襲っていいよ」

 あ?

 何という笑えない冗談を。

「一松さん。薬の効果は終わりました。こちらも悪ふざけしてすみませんでした。
 謝りますよ。だから機嫌を直して、悪趣味な冗談を止め――」

「冗談? まだ薬はキレてない。おまえは口ではそう言っているけど、実は俺や十四松に抱かれたいと思ってる――だよな、十四松?」

 部屋の温度が下がった気がした。
 怖いのは、一松さんが完全に無表情になっていることだった。

「……ええ!? 兄さん?」

 何この人。何なの。

「……よして下さいよ。ホント、笑えないから」

 後じさる。一松さんの顔は、あまりにも普通だった。
 いつも通りに冗談を言いそうな顔で、私に一歩近づく。

「ちょっと、覚悟しておいた方がいいよ。
 こいつ体力馬鹿だし初めてだから、多分一回じゃ終わらないと思う。
 でもいいよね。抱かれたがったのは――そっちなんだから」

 どうして。さっきまでありえないって言ってたのに。

「ね、ねえ一松兄さん。いったいどうしちゃったの? 僕はさっきのは冗談で……」

 十四松さんが、怯える私の前に立つ。私は十四松さんの足にすがらんばかり。

「ほら、十四松さんも引いちゃってるじゃないですか」

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