第6章 派生②一松&十四松END
そーっと指先がうなじを撫でる。怒ってる。もう怒ってる!!
そしたらドタドタとにぎやかな音がして、ふすまが開く。
十四松さんが入ってきて、私たちを見、
「あれ? 兄さん、松奈を襲ってるの!?」
どういう物言いだ!! 即座にお布団に体育座りして鑑賞態勢に入るな!!
良い子に見えてやっぱりクズ六つ子の一員だな、この子!!
「松奈……本当に十四松の前で襲ってあげようか?」
「見られて興奮するような特殊性癖はございませんからっ!!」
「襲うの? ねえ襲うの!?」
期待に目を輝かせるな、十四松さん!! 怖いわっ!!
「これ以上ごまかすなら、本当に十四松の前で襲うよ?」
奴の声は本気だった。何で真っ昼間から、そんな特殊プレイをっ!!
そして目をキラキラさせるな十四松さんっ!! 本気で怖いからっ!!
し、仕方ない。もう素直に言って薬を捨ててしまおう。
「いやー、その。飲ませた人に逆らえなくなっちゃう薬みたいなんですよ。
身も心も相手の奴隷になっちゃいます!みたいな♪」
てへへ☆
「……十四松。はがいじめ、な」
「らじゃーっ!!」
後ろからガシッと両肩を拘束される。
「えー、何でですかー!?」
「本気でそう聞いてるところがサイコだよね。はい、あーん」
私の身体の自由を奪い、一松さんは私から奪った薬を口に近づける。
もう筋肉痛の片鱗もない。怒りで完全復活してしまった。
「素直にお話ししたのに、なぜ怒るんです!!」
「で、俺をおまえの奴隷にして、何をしたかったの?」
「いえその、日頃の恨みを晴ら……少々ホストごっこをしたいと思いまして♪」
「言い直しても、十分クズだから。はい、あーん」
低い。声、低いっ!!
「十四松さん、助けて下さいっ!!」
「えー、でも見られなかったしー」
「見られなかったって、私たちの×××のこと!? 本気で見られると思ってたならあなたへの評価がマイナスにガタ落ちなんですが!!」
「あーん」
悪魔が、悪魔が迫ってくるっ!!
「いやああああー!!」
昼日中に響く悲鳴。クズ兄たちはパチンコから帰る気配もなかった。