第6章 派生②一松&十四松END
チョロ松さんが弟を足でこづき、
「筋肉痛で動けないんだって。昨日はどんなプレイをしたの?」
最近、何かとあっち方向に結びつけやしてませんか、チョロ松さん?
プレイをしたこと自体は正解でございますが。
やはり、猫とたわむれているだけの虚弱ニートに、片付けは運動だったかー。
しかし彼の苦痛は私を助けんがためのもの。私は大慌てで、
「大丈夫ですか、一松さん!? 湿布か薬を探して参りますね!」
「ぐはっ!!」
帰りがけにまた何かを踏んだ気がしたが、構わず階下へ下りていった。
「死んだ?」
「死んだね!!」
「そろそろ、いつ別れるか賭けようか」
後ろからヒソヒソ声が聞こえた気がしたが、きっと幻聴でしょう。
…………
途中経過は省きましょうか。
ケンカの多い六つ子のこと。湿布は切れていた。
私は仕方なく五人の朝食だけ先に作った。
その後ニート達は監視に十四松さんを残し、パチンコに行ってしまった。
私は玄関先で四人を見送り、鍵をかける。
お盆を持ち、軽快な足取りで階段を上り、ふすまを開けた。
「一松さーん。おかゆが出来ましたよ! 食べたら薬を飲みましょう!
お身体の具合はいかがですか?」
「重い誰かさんが踏まなかったら、もっと良かったんだけどね……」
一松さんは十四松さんにマッサージをさせていた。が、
「兄さん、ここ? それともここ!?」
「ち、違う……プロレスじゃ……ぐっ……!!」
もはやワザをかけているような状態になっていた。
「十四松さん、それじゃダメですよ。
一松さん、起きられます? おかゆを作ってきました。あとお薬も」
「ん……」
一松さんは、目をそらしてバツが悪そう。
男としてカッコ悪いとか思ってそうだな。面倒な人だ。
私はお盆を置いて、スプーンでおかゆをすくい、うつぶせの一松さんに、
「はい、あーん」
「……起きられるし。重病じゃないし。そもそも筋肉痛におかゆって」
へたばってるクセに。でも一松さんはどうにか起き上がる。
これで目線が近くなり、あげやすくなった。
「食事が終わってお薬を飲んだらマッサージをしましょう。では、あーん」
すると一松さんは顔を赤くし、
「……い、今、十四松がいるから」
「了解です。では十四松さん、あーん」
「何でだよっ!!」