第3章 三ヶ月目のさよなら
朝食が終わると、七人がドヤドヤと六つ子部屋に集まった。
「んじゃ、めでたく一松が戻ったと言うことで、予定確認ね」
長男おそ松さんが皆の前で、面倒そうに話す。
「カラ松とチョロ松は、ハタ坊を探しに行けよ」
「了解だ」
「もう、こうなったらハタ坊に頼るしかないよね」
ハタ坊さんとは六つ子の古いご友人で、お若いのに会社社長だそうだ。
問題は会社がコロコロ変わるため、居場所がつかめないことらしい。
……大丈夫なのか、それ。
「僕は今日も博士の手伝いに行ってくるねー!」
と十四松さんは元気そう。
「あ、あのー。僕も、十四松兄さんについて行きたいんだけど……」
トド松さんが恐る恐る手を上げる。
「えー、おまえは松奈と遊ぶのが楽しいって、喜んでただろ?」
腕組みしながらおそ松さん。
「無理無理無理!! 松奈だけなら大歓迎だけど、どうやって僕一人で闇松兄さんを見張れっていうの!!」
ああなるほど、私と一松さんを二人きりにさせると危険という理屈で兄弟の誰か一人がついてなきゃいけない。
トド松さん、さっそく荷が重くなったな。
一松さんは、そんな末弟を見ながら、
「別に俺は松奈をどうこうする気は――あるから二人きりでもいいけど」
『いいワケねえだろ!!』
隠さない犯罪宣言に、兄弟から総ツッコミが入る。
そして皆の視線が集まったのは。
「仕方ねえなあ。長男の俺が見ていてやるよ。おまえら二人、放っとけないからな」
おそ松さんが頭をかきながら、ため息をついたのだった。
まあ本音を言うと私もまだ、若干の不安がある。
おそ松さんなら、一松さんを確実に押さえられるだろう。
エロでギャンブル狂でどうしようもない人だけど、その点は安全だ。
「皆さん、ありがとうございます」
そういうわけで、皆が出発し、松野家には私、一松さん、おそ松さんが残されたのだった。
五分後。
「よーし、じゃあ三人でトランプでもやるかー!」
おそ松さんが嬉しそうにトランプを持ってきた。
「じゃあ私、トランプを切りますね」
そこに一松さんがガラッとふすまを開けて入ってきた。