第3章 三ヶ月目のさよなら
「どう? 松奈」
後ろからおそ松さんに聞かれ、振り返った。
そこはデカパン博士始め、皆が緊張しながら待っている。
「きれいに治りました。もう痛まないし、全部元通りです」
私が笑顔で言うと、五人の六つ子が歓声を上げた。
その中でニコニコしてるデカパン博士。でもすぐすまなそうに、
「わスらの軽い一言で、迷惑をかけてしまっただスな」
ええ、それはもう!!
「研究所も、まさかここまで荒らされてるとは思わなかっただス。
そうと知ってたら、一瞬で全部吸い込む掃除機の場所を教えただスよ」
いやそれ、研究所ごと無くなるオチになる気がして仕方ないんだけど。
「ここまでやったんだから、手伝うよ。博士にはお世話になってるし!」
おお、十四松さん、良い子だ。
「次元転送装置の準備も続けて下さい。三百万は僕らが絶対用意するから」
とチョロ松さん。私が異議を唱えようとしたけど手で制された。
「分かっただス。任せるだスよ」
と親指を上げる博士。
そういうわけで色んなことが上手く行くようになっていた。
…………
「じゃあ皆、頑張ってねー!」
十四松さんはそでを振ってお見送り。
「ホエホエ~。頑張るだスよ~」
まず研究所の前で、十四松さんとお別れである。
それからおそ松さんが、私たちに背を向け歩き出した。
「じゃ、俺はパチンコ行くから。おまえら、俺の代わりに頑張れよー」
と言いつつも、一松さんを探しに行くんだろうことは、全員が知っている。
「俺たちも行くか。後でな、子猫ちゃん」
どこへとは説明せず、カラ松さんとチョロ松さんが離れた。
三百万の金策だろう。あまり上手く行ってないようだけど、成功を祈るしかない。
で、私とトド松さんが残された。
私も一松さん捜しに行きたいんだけど……。
「えーとですね、トド松さん。私は――」
「僕らは『すたばぁ』に寄って帰ろうか。フラペチーノの新作が出たんだって」
片目をつぶって言われた。有無を言わさずに。
よって私もニコニコと、
「トド松さん。無事に良くなったんで少し一人でお散歩を――」
「いいね! じゃあ今日は僕が遊びにつきあってあげる!」
「いえ一人の方が……猫さんたちのことも気になるし……」