第3章 三ヶ月目のさよなら
えーと。
おそ松さんたちは私が別世界から来たことは、元々把握してたんですよね。
で、多分こうなったんだろう。
『松奈の傷を治すため、六つ子の一人がデカパン博士のとこに行く』
→『戻ってたデカパン博士から、私の帰還に関する情報を得る』
→『一松のしでかした不始末を償うため、帰還に全面協力することに』
おおおお。どうしようかと悩んでいた問題全てを、いきなり松野家の六つ子が引き受けてくれることに!
なーんだ。じゃあ後は私は寝てるだけでいいじゃないか!
…………。
ホントに、それでいいの?
一松さんのことを考える。
私に帰ってほしくないと、犯罪まがいの行為に出てしまった人。
今、どこをさまよってるんだろう。
もう会うことはないんだろうか。
互いに相手に対し、苦い思い出を抱えたまま、永遠に別れることになるんだろうか。
……痛い。心がすごく痛い。
目を閉じる。せめて夢の世界に逃避すれば、このグチャグチャな心から目を
そらしていられる気がした。
……。
いや、目をそらしてる場合じゃ無いし!
ヒロインぶってないで、行動はすぐ起こさないと。
でもなー。皆、私のことを『もっのすごく傷ついた可哀想な女の子』扱いだもんな。
私がいくら一松さんのことを怒ってないって言っても『監禁生活で洗脳された』的な見方しかしてもらえないし。
また会わせたら凶行が繰り返されるのでは、と不安がってもいるみたい。
ダメなのか? 私が一松さんをタコ殴りにして、体中の穴という穴にタバスコをすり込んで、それで終わりにしてはダメなんですか!?
こうなったら真夜中に、六つ子の目を盗んで、こっそり一松さんを探しに行こう。
うん、そうしよう。
私は、はんてんの中で決意を固め、今度こそぐーすか寝てしまった。
…………
ぐぉー、ぐぉーと、うるさいいびきが響く。
膝を抱えていた手を離し、身体をちょっとずつほぐすと、カラ松さんの身体にちょっと
当たる。あー、傷が痛い。
……。
なんで六つ子布団に寝かされてるんだ、私っ!!
起きてみると、着替えさせられ、六つ子のお布団に寝ていた。
以前、一松さんが寝ていた一番端のポジションに寝かされて。
あのお。お兄さん方、私、女の子ですよー?