第3章 三ヶ月目のさよなら
結論から言うと三日ほど入院した。
お腹の傷は思ったより軽傷。
やっぱ根はヘタレのニート。直前で切っ先が鈍ったらしい。
血が出てたけど、ほとんどかすったみたいなもんだった。
傷跡残るかもーと言われたけど『デカパン博士に頼んで、絶っっっ対に傷を消してもらうようにするから!』と、ご兄弟に保証をされた。
デカパン博士、相変わらず万能である。
入院した主な原因は栄養失調、脱水、ちょっと貧血気味。
それと睡眠障害を少々と、歩行機能の低下。
ちょっと歩いてもゼエハアと息が切れる。
でも、どれもすぐ改善するでしょうとのこと。
とりあえず病室の窓から久しぶりに見る青空がまぶしかった。病院食は不味かった。
結論。思ったより大したことはありませんでした。ラッキー☆
よし、退院したら早く三百万貯めて元の世界に戻るぞー!
……が、松野家の六つ子には、それで済む問題ではなかったらしい。
「すまなかった! 本当にすまなかった!!」
カラ松さんには病室で土下座された。
何度も何度も土下座し、頭を床にぶつけるもんだから、額から血が出ている。
それでも謝り床に血だまりを作っていく様子は、ギャグを通り越しホラーであった。
そして『一松をもう一度殴ってくる』と止める間もなく、血まみれで病室を出てしまった。
むろん速攻で看護師さんに連行されたそうな。
おそ松さんはお見舞いの花を渡しながら、斜め45度の謝罪をしてきた。
「ごめん。本当にごめんね。監禁とか調教とか変なAVを見過ぎたのかな。
ちゃんと監督して、当分はノーマルなものだけを見せるようにするわ」
他のご兄弟も次々にやってきて謝られた。
皆、似たり寄ったりのことを言ってるので要約すると、
『うちの四男が大変なご迷惑を!!』
いや六つ子だからって、連帯責任になるわけないでしょう。
でも皆、一松さんのヤバい雰囲気には薄々勘づいていたようで、大なり小なり責任を感じているようだった。
私としては、お母様が毎日(といっても三日だけど)お見舞いに来て下さるのが何より嬉しかった。
お母様とお父様が、私とまた会えたのを心から喜んでくれているご様子なことも。