第3章 三ヶ月目のさよなら
…………
どのくらい時間が経ったか分からない。
窓の板の間からは日の光がかすかに差し込む。
「ぁんっ、や、やだ……ぁ……だめ……いや、やめて……っ!……」
暗い部屋に、ひたすらに喘ぎの声が響く。
痛い。
硬い床の上で抱かれているので、全身が痛い。
身体を動かすごとに、汗と体液の混じったものが身体を湿らせ、気持ち悪い。
一松さんは、そんな私を冷静に見下ろしながら、私を貫く。
全身が痛い。
連れて行かれたのは、この家の別の部屋だった。
家具らしい家具はなく、窓にはやはり板と鉄格子。
そして冷たい床に転がされ、その後はずっと抱かれていた。
『単に抱くだけで、おしおきになるの?』と気楽に構えていたのも最初のうちだけ。
互いに一糸まとわず、睦言(むつごと)も無くキスも交わさず。疲れたら休息し、また交わる。まるで動物か、性欲処理の玩具。
ただ疲れるだけの作業的な交わり。
ひたすらに辛かった。
身体のあちこちに傷をつけられ、床は汗と精液、蜜の混じったもので汚れている。
「一松さん、ごめんなさい、ごめんなさい……」
涙ながらに謝っても、一松さんは私を抱くのを止めなかった。
痛い。疲れた。お腹が空いた。けど、終わる気配がない。
頭がぼーっとする。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
何度謝っても、拷問が終わることはない。
もちろん時々休みはある。
一松さんが私を抱きしめたまま――というか腕で拘束したまま、少しの間落ちるときがある。
でも休息は長くない。私が少しでも身じろぎするとすぐに起きる。
もしくは自分が先に起き、一緒に落ちている私を、
「起きて」
冷たい言葉と共に、乱暴に揺り起こすのだ。
でも一松さん以上に私も疲労している。無理にでも寝ようとすると、
「……っ!」
ペットボトルの冷水をかけられ、強引に起こされた。
そして今もまた、水をかけられ、起こされた。
私はうつぶせになったまま、寒さと疲労と不眠の苦痛にうめく。
今はいつ? 夜が明けたことは分かっても、朝なのか昼なのかもハッキリしない。
身体が寒くて仕方ない。少しでいいから、休ませてほしい。
私を見下ろす一松さんも、さすがに疲労しきっているようだ。
これで、やっとおしおきを終わらせてくれるかな……。