第3章 三ヶ月目のさよなら
「いたた……」
「馬鹿松奈」
「ごめんなさい」
「何、ビビってんの。俺、何も怒ってないからね? 外に出たいのも拘束されたくないのも
人として当たり前の感情でしょ。昨日のことだって、大人げなかったって反省してるし」
少しかがんで手を伸ばし、私の手首の包帯をさする。
その優しい手に安心し、私は少し笑う。
「……痛っ!!」
突然力を入れられ、傷口をもろに握られ、声が出る。
「だから松奈も、いい加減に受け入れてくれると嬉しいんだけど。
いつも言ってるけど、ずっとじゃなくて、たった一ヶ月だからね」
松野家で過ごした二ヶ月はすごく早かった。ここの三日は、とても長く感じる。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
何で謝ってるのか自分でも分からないまま、謝罪の言葉を口にしてしまう。
「泣かないでよ。松奈。何で謝るわけ? でも逃げたいくらい退屈なら……」
一松さんはブルってへたり込む私を見下ろしている。マスクで表情は見えない。
でも。
……笑ってる?
「っ!!」
一松さんがジャージの前を下ろす。
「俺と楽しいことをしようか」
と言った。
「ん……んう……んん……」
床に膝をつき、一松さんの××を口にふくみ、何度も何度も動かす。
唾液も飲み込めず、口が疲れる。少し休みたいとも思う。
「良い子。休まないで」
髪を撫でる一松さんに『良い子』と言われ、ホッとする。
「ん……はあ……ん……」
「松奈……可愛い……」
口の中の××の体積が上がり、血管が浮き出ているのが分かる。
あと少し……と思いながら、必死に舌で奉仕していると、上で何か破る音がした。
「……?」
舐めながら目線だけ上げると、一松さんが薄い四角の袋を破っていた。
「今、挿れたい……いいよね?」
マスクを指で下に下ろし、笑った。
私に拒否する権利なんて、あるわけがない。
やっと口を解放され、口から垂れた唾液と透明な汁をぬぐう。
一松さんは準備をしながら、
「脱いで……いや、いいや。ボタンを外すだけで」
「ち、ちょっと待って下さ……あっ……」
肘をつかんで立たされ、テーブルに身体を押しつけられる。
テーブルの角が硬くて背がちょっと痛い。
「一松さ……ベッドに……」
「今すぐ、したい」