第3章 三ヶ月目のさよなら
さっきの段ボールの中身を接続してるみたいだけど……。
しかし、つなぎ姿もあって作業する様子がサマになっている。
「愛らしくしようとすると、こうなるのです」
「いや愛らしくないし、俺を絞め殺そうとしてる風にしか見えないから」
しっしっと追い払われる。ん? 絞め殺す?
あ、ヤンデレとかって、男の人は好きなんですよね!
「ではヤンデレ路線に変更しますね!!
今すぐ部屋のホコリを拭いてくれないのなら、私、死にますからっ!!」
「は? ヤン……何?」
ざっくり傷ついた。そして自分で言うのも何だけど、ヤンデレをはき違えた感。
「よく分からないけど、部屋をきれいに使ってくれてるんだね」
作業を続けながら一松さんが言う。
「え? だって、昨日来たばかりですし」
「もう少し、荒れてるかと思った。もっと暴れられて」
「何でです?」
「…………」
やることがなくて暇だし。一松さんが朝、ここに来るまで暇で、クローゼットから勝手に掃除用具を出して、どうにか部屋をきれいにした。
そう言うと『やっぱり変な奴』と、一松さんはぎこちなく笑った。
「こんなことして、俺のことを嫌いになった?」
「まさか。大好きですよ!」
笑う。すると一松さんもホッとしたみたい。
「よし、接続出来た」
「何ですか? テレビ?」
わくわく。
「テレビはダメ。DVDプレーヤーをつないだから」
おおーっ!!
「これでエロいDVDを見放題なワケですね!」
すかさず椅子に座って鑑賞態勢!!
「いや何でだよ。でも何本かは持ってきた」
一松さんはDVDの入った紙袋も持ってきていた。中から取りだしたDVDディスクをプレーヤーに入れ、リモコンのスイッチを押す。
画面が明るくなり、現れたのは……。
「うわー、可愛いっ!!」
「うん」
にゃーにゃーにゃー。
テレビ画面の中では、愛くるしい子猫たちがたわむれていた。
「アメショ、スコフォ、マンチカン……」
ああ、見てるだけで癒やされる!
私は、目をキラキラさせ、しばし画面に魅入った。
一時間後、子猫DVDを見終わり、私は癒やしの世界に浸っていた。
「これで退屈しないでしょ?」
「ありがとうございます、一松さん! すごく嬉しいです!」
「良かった」
微笑むと、キスをされた。