第2章 二ヶ月目の戦い
ガツガツと食べる私を、一松さんは頬杖つき、嬉しそうな目で見ていた。
雨が止まない。
そして私は次にサラダを……。
「……む……」
食べられないことはないけど、手錠してるから食べにくいなあ。
お皿を押さえられないって、結構大きい。
うわ、皿が動く。テーブルから落としそうになり、慌てる。
「貸して、食べさせてあげる」
フォークを取り上げられた。
「はい、あーん」
「あ。ども。あーん」
そのまま食べさせてもらい、
「口、拭くよ」
「ども」
そしてごちそうさま。一松さんは立ち上がる。
空のお皿がのったお盆を持ってドアの方に行き、
「それじゃ、また来るから」
「一松さん」
私はいい加減に、限界だった。
「何?」
振り向いた彼は、いつも通りだった。罪悪感や焦燥は見られない。
あまりにいつも通り。
雨は強くなるばかり。今日はどしゃ降りだろうか。
…………
「はあ……あ……ん……」
手錠の音と、私の変な声が交錯する。
私はベッドに押し倒され、手錠をした手を頭上に上げさせられ、身体を好きにされていた。
「ここがどこかって? 言っても分からないと思うけど。
あとは――さっきみたいな大声を出しても無駄。そういう場所」
一松さんは私にキスをし、合間に私の服に手を入れ、脇や腰に這わせる。
でもこんな状況で、その気になれるわけがない。
「足、閉じないでくれる?」
一松さんが低く言う。
「もっとひどい目に、あいたくないでしょう?」
普段なら鼻で笑ってしまう言葉も、この状況では……。
おずおずと足を開くと、手が遠慮無く下着の中に忍び込んだ。
「良い子」
褒められても嬉しくない。
「反応してくれないんだ」
いつも恋人の訪れを喜ぶ場所も、今はドン引いて無反応。
「こんな状況で反応してたら、単なるヤバい人でしょう!!」
限界だ。ついに怒鳴った。
「何考えてるんですか、一松さん!! 今すぐ解放して下さい!!」
「……それ、今頃言っちゃうの? あんまり反発して来ないから、てっきりこういうのが趣味な子なのかと思いかけたんだけど」
「状況に頭がついていかなかっただけですよ!!」
人間、テンパりが極限に達すると、逆に冷静になる。
まず状況把握が先だった。
「いったい何でこんなことを!!」