第2章 二ヶ月目の戦い
ここで目覚める前のことを思い出す。
あの夜、宝くじを破られた私は一松さんに激怒した。
そして夜の公園で大喧嘩になって……。
でも、最終的に疲れてしまった。
私は一松さんが全く悪びれないのに疲れて、ベンチに座って、眠くなって。
おかしい。
おかしすぎる。なぜ、それでここに飛躍する。
一松さんとは普通にやりとりしていた。風邪の対応をめぐって多少は怒らせたかもしれないけど、いつものことであり。
何でこんなホラー映画みたいな状況になってるの。
一松さんにいったい何があった。
私たちの関係は良好であり、彼がこんな行動に出る理由が分からない。
「俺も好きでやってるわけじゃないから」
「は?」
「一ヶ月だけ我慢してよ。よく分からないけど、タイムリミットをオーバーすれば、もう帰る手段はないんでしょ?」
「ん……て、一ヶ月、監禁するつもりなんですか!? 長期すぎますよ!
最後の数日くらいでいいでしょうがっ!!」
谷間をまさぐられながら、どうにかツッコミは入れる。
「勝手に宝くじを当てる方が悪いよ。考えてみれば、俺らを保証人にして借金したり、内蔵売ったりして、短期に三百万をどうにか捻出することは不可能じゃないと思って」
「私のハードラックに文句を言われても! あと腎臓一個無くして帰還する気はありませんからね!」
お母様とお父様に迷惑をかける方法も却下だ! 心配されなくとも、勝手に借金なんてこさえませんよ!!
「どうかなあ。用心に超したことはないし。一応、監禁しとこうと思って」
「一応で監禁に走られてたまりますか! 何か軽いし!!」
一松さんは平常運転。だから怖い。
「こんなの、犯罪行為ですよ。全国報道とかされちゃうかも……」
反応すまいと思っていても、耳に鎖骨にとキスされ、息が上がってくる。
優しい愛撫に、下半身の熱もたまってくる。
「その『未成年』が住所不定で戸籍無し、記憶無し、捜索願い無しの、存在しない子だったら?
それにそんなことをすれば、松野家にも迷惑がかかるよね」
まあ、確かにそうなんだけど!!
「ん……ぁ……やっ……!」
少しずつ蜜があふれてくる。指が谷間に潜り込み、くすぐるように敏感な箇所を刺激する。
「皆。きっと私を、探して……」
「松奈は自分の家に帰った。そう説明しておいたよ」