第2章 二ヶ月目の戦い
……寒い。一松さん……?
暗い。冷たい。
どこかで水が落ちる音がして、目を開けた。
「う……っ!」
まず感じたのはものすごい頭痛。あまりの痛さに、一度覚醒したのにしばらく思考停止していたくらいだ。
そしてずーっと寝ていたかのように、身体が重い。大きく息を吐いた。
そしてまた水音が気になる。
いや、水じゃ無い。雨だ。雨が降っている。
「……て、雨!?」
うわああ。洗濯物を取り込まないとっ!!
あのクソニートどもが洗濯物を取り入れるかどうか。
お母様からしつけられているが故、たいていはやってくれるが、最近は私に家事を丸投げだからなあ……これだから男性は……ブツブツ……。
「ん?」
どうしたことだろう。
身体が動かない。金縛りか。
うーむ。昨日は遅かったもんなあ。
「……ん?」
いや、金縛りはこんなに意識が明瞭じゃないでしょう。多分。
それに心霊現象にしては、今は……えーと。
部屋がすごく暗くて分からない。でも夜まで寝ていたかなあ。
雨の音はするんだけど。
でも夜というほど暗くは無い。多分、日中。
光源は? そこの窓だ。
視線を転じると窓が見えた。
分厚い遮光カーテンがかけられ、その向こうに格子が見えた。
だんだんと目が慣れてくる。
私は少しずつ身体を動かしてみた。
そしたら音が聞こえた。
ガチャリ。
「…………」
言葉を失った。ナニコレ。
手錠である。
引いた。ドン引いた。何ですか、コレ。
玩具では無い、割とリアル寄りの手錠である。
私は手錠をした状態でベッドに寝かされていたようだ。
私、寝ている間に違和感で手を動かしまくったのかな。
手首に赤い輪っかが出来ている。
まだ赤くなってるだけだけど、手錠がこすれるとちょこっと痛い。
私はそろそろと身体を起こした。良かった。他に拘束はされてない。
「あ、おトイレおトイレ」
失礼。起きたら急に排泄欲求が。トイレはどこだろう。
寝ながらキョロキョロする。そんなに広い部屋ではないようだ。
見えるのは鉄格子のついた窓、ベッド。それから……。
おー、テレビもある!
今はいつだか知りたい。
すぐテレビをつけたいが、生理的欲求を解消する方が先だ。
寝かされていたベッドから下りる。
「うわっ!!」