第2章 二ヶ月目の戦い
うう、でも何か頭がすごく痛い……身体がダル重い……。
よろめきそうになり、廊下に手をついて自分を支える。
また疲労かなあ。
だが、私を実の妹のように可愛がって下さる六人のお兄さん達のために!
お父様とお母様がいない間の松野家は、私が守る!!
うわ! よろめいて階段から落ちそうになった!
私はフラフラしながら階段を下りていった。
…………
…………
「お、終わりました……」
六人分の朝食をちゃぶ台に並べ、ハエ避けに新聞紙などかけておく。
時刻を見たら十二時前。
おかしい、手際が悪すぎる。想定した倍の時間がかかった。
動いていれば回復するかと思ったが、気分は悪くなるばかり。
そういえば自分の朝食も、食べた直後に盛大にリバースしちゃったし……。
私は鏡を見る。
「な、なんじゃこりゃ……!!」
真っ赤にほてっている。額に手を当てると超熱い。
一度体調不良を自覚すると、あとは一気に来る。
「た……体温計、体温計……」
立っているだけでも気持ち悪く、床を這いずりながら体温計をくわえる。
そして五分経過。恐る恐る数値を確かめる。
……ヤバい。こんな熱で動いてたのか、けなげな私、怖すぎる。
「ンなアホなこと、考えてる暇はない……寝ないと……!!」
一昔前なら『病気を押して働く女の子は可愛い!』『超けなげ!』と評価爆上げであった!
だが感染予防知識の浸透した昨今では、単にウィルスをまき散らす迷惑な存在!
万が一、六人のお兄さんに移ったらどうする!!
私があのクズ六人を看病!?
あんなニートどものため、指一本動かすのもごめんだ!!
冷え○タ……ないよね。ああ、頭が痛い。ガンガンする。
だんだん意識がもうろうとしてきた……。
私はずりずりと階段をのぼろうとし、そこで力尽きる。
頭が痛……熱……死ぬ……喉、乾いた……。
階段にしがみつくように、へばった。
遠ざかる意識の向こうで、六つ子の部屋のふすまが開いた音がした。
冷たい階段が気持ちいい……冷え…○……タ……。