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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い


 …………
 
 そして、私と一松さんは研究所に来た。
 鍵を使って裏口から入り、まずは、一松さんが蹴破った窓の掃除&補修をした。

「ほら、ガラスを直接触らない。ちゃんと軍手して、ホウキで集めて。
 ゴミ袋にちゃんと『ガラス』って紙を貼る」

 うるっさいなあ。分かってますよ!

「ガラスを買う金がもったいないから、割れたところは鉄板でふさいでおこう」
 一松さんは荒れた研究所を一通り見て周り、

「あの人、あの妙な発明品で結構稼いでると思ってたのに。
何をやらかして、ここまで荒らされる借金をこさえたんだか」

 呆れたように言った。博士とも知り合いらしい。
 借金の理由は私も色々考えたのだが、多分、次元転送装置の開発費用でしょうな。
 そう思えば、私がここを片付けさせられるのにも納得が――いくわけないでしょう!!

 一松さんはつなぎのポケットから手を出す。
「出来るところからやっていこう。どうせ報酬は後払いなんでしょ?」
「そ、そういうとこです」
「前金ももらってないの? 警戒し無さすぎでしょ」
 ここまで言われて無報酬と知られたら、どれだけの罵倒を食らうことやら。

「よいしょ……」
「どいて。重いのは俺がやるから」

 一松さんは、私が四苦八苦していた資材箱をアッサリと持ち上げ、元の場所に戻す。
 うおおお! 私の中の好感度が1.5くらい上がった!
 こういうところは、やはり男性だ。頼りになる!

「すごいです! さすがです、一松さん!」
「……いいから、早くやろうよ」
 一松さんは顔をちょっと赤くし、ポケットにぶっきらぼうに手を突っ込んでいた。
 
 …………

 …………

 機材に汚れ防止用の布をかけ、一段落。
「はー、やっと一部屋終わりですね」
「おつかれ」
 ゴミ袋をゴミ置き場に放り、軍手を取って、しっかりと手を洗う。
 二人がかりで掃除をして現れたのは、小ぎれいな……手術室? 処置室?
 簡素な硬いベッドがあり、それを囲むように機材が色々。

 ベッドのシーツもかなり汚れていたが、博士の発明品たる超高速自動洗濯&乾燥機が生きていて、あっという間に真新しいものになった。

「ほら、栄養を取って。あと水分補給」
「すみません」

 昼食代わりのカロ○ーメイトと栄養ゼリー、スポーツドリンクで一旦休憩した。 
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