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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い



『えーっ!?』
 五人のお兄さん+私の声である。

 ……治験(ちけん)が何か分からない人はググってみよう。
 あくまでまっとうなお仕事なので、その点だけは誤解なきように。
 でも『裏』って何すか一松さん。

「松奈ー!! そういう仕事だけは、お兄ちゃん許さないからね!!」
「目を離せない子猫ちゃんだ。『好奇心、猫をも殺す』という言葉、知っているかな?」
「危ないことするなって言ってる先から、どんどん怖い方向に行ってるよ、この子!!」
「治験って稼ぎがいいよね! 俺と一緒にやる!?」
「十四松兄さん! 松奈もやるならもっと他人を食い物にする方向で行かなきゃ」

 何か私の評価がダダ下がりじゃないっすか?
 一部、怖いことを言ってる人たちもいるし。

「帰ろ帰ろ。今夜は飲み屋で食ってこう」
「今後は求人誌に載ってるとこ以外は禁止だからね!!」
「俺もよく見てるようにするよ」
「頼むよ一松兄さん。本当に松奈ってば――」

 肩に手を回され、半分小突かれつつ、連行されていったのでした。
 
 …………

 …………

 翌朝、お父様とお母様は熱海へのご旅行に出発された。

 大きな旅行カバンを持ってニコニコし、

「それじゃあ、いってくるからな」
「皆、留守は頼んだわよ。松奈、家事は適当でいいからね」

『いってらっしゃーい!!』

 七人でお見送りし、後はそれぞれバラバラに散ろうとして。

「言っておくけど!! 父さんと母さんがいないからって羽目を外さないこと!」

 おそ松さん。明らかに私と一松さんを見て言ってない?

「門限は六時! 宿泊は不許可! 男女交際は健全に!!」
『おー』
 一松さんはうっとうしそうな顔だけど、他の兄弟達は拍手していた。
「よーし、それじゃパチンコ行くぞー!!」
『おー!!』
 六つ子のノリが不明である。一方一松さんは、

「俺、今日は松奈についてるから。目を離すと何をしでかすか分からないし」
 失礼な!! するとチョロ松さんがおそ松さんの隣で、参謀然と、
「それについては許可しよう。でもさっき言ったとおり、宿泊は不許可!『休憩』もダメだからな!!」
「……。分かってるよ」

 D○怖ぇ。何でデートをするのに兄の許可がいるの。
 あと道ばたで大声を出さないで。

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