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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い



「そんな危険ってワケじゃ……後で言えばいいかなーと思って」
「言ってたら止めてたよ!! 予定をキャンセルしてついていった!!」
 さっきのは手が滑っただけ。そんな騒ぐほど危険じゃ。
「薬品を頭からかぶったら! ガラスで手を切ったら! 変な機械で感電したら!?」

「でも、この研究所の片付けだけは、どうしてもやらないと――」

「なら俺に言えばいいだろう!! 他の奴らだって、聞いたら絶対に止めてたか、ついていった!!」

 そんなに危険……実は危険な行為だったの?
 荒らされた研究所を、女の子一人で掃除するって。

「――っ!」

 一松さんに抱きしめられる。

「松奈……ホント、馬鹿すぎでしょ……何なの。
 何でそんなに一人で必死になってるの。
 必死になりすぎて何も考えないで危険なことやらかしちゃうの」

 そして私を見る。宵闇でよく見えないけど、泣きそうにも見えた。

「そこまでして、帰りたいわけ……?」

 返事をしようとしたら、それを妨げるようにキスをされた。

「……。ん……」

 舌が入り込む。
 身動き出来ないくらい強く抱きしめられる。
 そのまま、しばらく私たちはキスをしていた。


「絶対に帰らせない。帰さないから……」
 

 キスの合間にそう呟くのを聞いた気がした。

 そして一松さんに連行され、私は研究所の外に出されました。
 何時間気絶してたんだか、外はすっかり夜になっていた。
 そして。

『松奈ーっ!!』

 残り五人のお兄さんが次々にやってきて取り囲まれた。
 どうやら、夜になっても帰ってこない私を案じて、総出で探してくれていたらしい。

「どこで何やってたの!? 心配したんだよ!?」
「誰かに誘拐されたか? 俺が狙撃してきてやる!」
「だから変なバイトは止めろって言ったのに! 警察に行く!?」
 何か誤解をされているような!!
「松奈ー! 良かったー! 売り飛ばされたかと思ったー!!」
 いやだから、何を想像してるんです、あなた方!!

「一松兄さんのお手柄だね、松奈、どこで何をやってたの?」

「あの、皆さん。ご心配おかけしてすみませんでした。実は――」

 デカパン博士の研究所で……と続けようとしたが、一松さんに遮られた。

「裏治験のバイトに応募するため、順番待ちしてたんだってさ」

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