第8章 カミングアウト
「やったってばよ~っ!」
それから数日、滝を切ることに成功したナルトを連れて、俺は一楽へ向かった。
「あれ?アヤメさんは?」
一楽の看板娘がいないことに気付き、そう言うとテウチさんが旅行に行っているのだと教えてくれた。
「それにしてもカカシさん、また成長期でも来たんですか?逞しくなっちまって。」
アヤメがいたらきゃーきゃー言いそうだ、と言ったテウチさんに苦笑いした。
「確かに……
カカシさん、がたい良くなりました?」
隣にいたテンゾウの視線が俺の体をなぞった。
「ちょっと、そんな目で俺を見ないでヨ。」
俺はそんなテンゾウに半目を向ける。
「冗談止してくださいよ!」
そんなやり取りをする俺たちの間で、ナルトに出されたラーメンが親指が浸っていたと言う理由で下げられて言った。
ナルトはそれをヨダレを垂らして見送っている。
「…写輪眼に対抗できるのは写輪眼だけだ。
その写輪眼でルミに負けてるからね。」
俺とテンゾウが話しているのも気にならないようで、ナルトは恨めしそうに下げられたラーメンを見ていた。
「ガイの体術が俺の写輪眼と張り合うように…中忍試験でリーの体術がサスケの写輪眼を上回った様に俺も体術でルミに勝てば勝負になるだろうと思ってね。」
俺がそう言うと、テンゾウではなくラーメンに意識が向いていたはずのナルトが反応した。
「サスケとサクラちゃんもだったけど、カカシセンセーまでルミを連れ戻すために修行してたんだな。 」
そんな俺たちを黙ってテンゾウが見ていた。
「まあね。
それに、好きな子よりも弱いとかカッコ悪いでショーよ?」
そう答えた瞬間、その場が静まり返った。
そこで俺は口を滑らせたことに気付く。
「………え?」
最初に声を発したのはテンゾウだった。
「えぇーっ!?」
続いて上がったナルトの叫び声に、俺は耳をふさいだ。