第12章 呼べない名前
sideー自来也ー
大蛇丸とうちはルミに助けられたワシは、里 に帰ると偽者ではないかと疑われたが本人だと分かると異常なまでに喜ばれた。
どうやらワシは死んだと思われていたらしい。
実際、一度心停止になっていて、蘇生したあとも死を覚悟してフカサクにペインについて突き止めたことを暗号として託した。
そのあとタイミングを見計らって現れたかつてのチームメイトに助けられたが、それがなければ死んでいた。
「ったく!心配させてやがって。殺しても死なないとは思っていたけど……」
すぐに火影のもとへと連れていかれたワシは、綱手になぜかビンタされた後で涙ぐまれていた。
「すまんかったのう。ワシもまさか助かるとは思わんくてな」
へらりと謝ると、呆れた顔でため息をつかれた。
しかし、ワシが助かった理由を話した瞬間綱手の顔が真剣味をおびる。
「大蛇丸が?オマエを?」
「あぁ。ワシも何を企んでいるのかと思ったが、どうも様子がおかしくてな……
もしかすると、アイツも変わったのかもしれん」
自分の願望も混じった考えを付け加えると、綱手の眉間に更に皺が寄った。
「あんたは……。
もう大蛇丸のことは諦めたんじゃなかったのかい。そんなこと言ってるとまた辛い目を見るよ」
昔を思い出したのか苦々しく忠告してくる。
「……だがのう、うちはルミといる大蛇丸を見たら、また、アイツと笑いあえる時が来るような気がしたんじゃ」
その言葉を聞いた綱手の目が大きく見開かれた。
しかしすぐに元の表情に戻る。
「……、先生のもとで三人で任務をこなしていたときも、私は、お前と大蛇丸が笑いあっているのを見たことはないがな」
馬鹿にするように言われて、確かに、大蛇丸とはいつも睨み合ってばかりいたことを思い出した。
殆んどワシが突っ掛かっていただけで相手にされていなかった気もするが。
気づけば張り詰めていた空気が緩んでいた。
しかし、それは部屋に飛び込んできた一人の忍により一変する。
「綱手様!うちは上忍とうずまきメンマを追跡していた暗部から二人が襲撃されたと連絡がありました!」