第8章 カミングアウト
『…そっか、大蛇丸さんは私の師匠ですもんね。』
大蛇丸の言葉に、思い返してみればそうなるなと思い呟くと、何故か彼は嬉しそうな顔をした。
しかし、腕が痛むらしく直ぐに顔を歪めた。
(三代目にかけられた術のせいか…)
今まで普通に修行をつけてくれていたから忘れていた。
私は大蛇丸の横に立つと両手を握った。
「ルミちゃん?」
カブトが不思議そうな視線を向けてきたが無視する。
私はチャクラを練りながら口を開いた。
五分、十分と時間が過ぎていく。
自然と紡がれる歌が終わる頃には、額に汗が浮かんでいた。
「まさか…。」
大蛇丸は驚いたように自分の両手を見つめていた。
そこには、ただの手が2本伸びていた。
「…こう言うときはありがとうと言うんだったかしらね。」
大蛇丸は感知した腕をさすりながら私を見ると優しく微笑んだ。
(…あなた誰ですか?)
それを見て、これまでにも何度か言いかけた疑問が再び口をついて飛び出しそうになった。
「ところで、貴女。
雲隠れのくノ一をさらってきたみたいだけど、何をするつもり?」
大蛇丸は君麻呂が連れてきた人柱力のことを言っているのだろう。
『さらってきたって、酷い言いようですね!
暁に尾獣を狙われているから助けたんです。』
私がそう言うと、大蛇丸はこれからどうするつもりなのかと聞いてきた。
『私、ある程度この先に起こることを知ってるんです。
………それで、未来で起きる大きな戦を止めたいんです。』
私の答えに、大蛇丸がニタリと笑った。
「まさか、未来が分かるなんて…
ルミちゃん、貴女本当に面白いわ。」
大蛇丸の口が弧を描く。
「せっかくだからワタシもその計画に参加させてもらうわ。
弟子の面倒を見るのが師の務めだからね。」
大蛇丸の思いがけない申し出に、私は目を瞬いた。