第8章 カミングアウト
『ただいま戻りました~。』
アジトへつくと、帰還したことを伝えるためそう言って中に入った。
しかし、反応はなく雰囲気が何時もと違った。
「あぁ、お帰り。
人柱力ならな部屋を与えてそこにいてもらってるよ。」
キョロキョロとしていると、やって来た君麻呂がそう言った。
『大蛇丸さんとカブトさんは?』
私は、二人が出掛けているのかと思いながら聞いてみた。
「大蛇丸様は、今部屋にいる。
でも、いかない方がいい。」
君麻呂はそう言って部屋に戻っていった。
(何かあったのかな…)
君麻呂には行かない方がいいと言われたが、気になってしまい大蛇丸の部屋へ向かった。
「…っく……クソっ……」
大蛇丸の部屋の前まで行くと、中からくぐもった声が聞こえてきた。
「扉の前にいるのは誰だい?」
中に入ろうかと迷っていると、気配でばれていたようでカブトの警戒した声がした。
『帰ってきたから顔を見せようと…』
私はばれたのだから入ってしまおうと考えドアを開けた。
『大蛇丸さん!?』
そこには、ベッドに寝たまま爛れた両腕を押さえるようにして痛みを耐えている大蛇丸がいた。
(あぁ、そう言えば大蛇丸はサスケの、今は私の体を乗っ取ろうとしてるんだっけ。)
その腕を見て、私は今さら大蛇丸が私を欲しがった理由を思い出した。
「……もう、貴女の体をもらおうなんて考えてないわよ。」
私が考えていることに気付いたのか、大蛇丸が苦しそうな声でそう言った。
その言葉に、私は思わず驚いて大蛇丸を見る。
「貴女に修行をつけているうちに、どう成長していくか見たくなったの…
ワタシも年を取ったのね…猿飛先生の気持ちなんてわかりたくもなかったけど。」
驚いている私に、更に驚くようなことを大蛇丸は言ってのけた。