第7章 使いふるされた台詞
「風影の時と言い、今回と言い…お前はいつも助けに現れている。」
アスマはそう言うとじっとこちらを見た。
「お前は一体、何を知っているんだ?」
アスマの質問に、私は返事をすることが出来なかった。
しかし、アスマはそれでも構わないようで言葉を続ける。
「俺はお前がリュウだったときからこいつには何かある不思議に思ってたんだがな、今日のでそれがなんだか分かった。」
真っ直ぐ見つめられて息を飲む。
「お前、未来が見えてるんじゃないのか?」
その言葉に、思わず息を飲んだ。
『いや、そんなことあり得ないですよ。』
私は慌てて否定するが、アスマは目を細めた。
「なるほどな。」
先程の動揺から、予想が当たったと判断したのだろう。
アスマは何かに納得したように頷いた。
「前にカカシが倒れたとき、お前アイツに謝ってただろ。
それがずっと引っ掛かっててな。
けどあれは知っていたのにそうなったことに対しての謝罪じゃない。
あれは、未来で起こる何か重要な出来事に必要なものだった…」
だから何もしなかった、その事についての謝罪じゃないのか?
アスマにそう言われて、私は目を見開いて彼を凝視した。
「そうなると、お前の里抜けも必要なものだった。
…いや、本当は別の誰かが里を抜ける事が必要な事だった。
しかしそれにはお前が代理でも変わらなかった、そんなところか?」
アスマの怒涛の推理に、私は唇を震わせた。
『な、んで…』
思わずそう呟くが、思い出した。
(そうだよ!この人頭いいんじゃん!)
漫画では奈良家の当主とその息子が頭脳で活躍していたから忘れていた。
アスマもその片鱗が見栄かくれしていたということを。
「当たりか?」
動揺している私に、アスマがそう言った。