第6章 切り捨てと救済

(不味い…

一人だけでもキツかったつーのに二人かよ。)






俺はぐっと唇を噛んだ。






「ハヤテ。」



不知火特上が月光特上を呼ぶ。
二人が角都と呼ばれた暁と向かい合った。





「お前らはアスマ上忍のサポートを続けろ。

あいつは、俺達でやる。」




不知火特上がそう言ったの合図にしたかのように戦闘が再開した。






２対１と３対１。

数では此方が有利に見えているが、押されているのは俺達の方だった。






気付けば、再び奴が陣の中に入り鎌に付着したアスマの血を舐めていた。


飛段は鎌ではなく、取り出した刀で自分を傷つけた。

足、腕を中心に何度も刀を突き刺す。





「ぐあぁ！」






アスマの苦痛の声が響いた。






「先生っ！」




イノが叫ぶが、敵は止まってはくれない。

大きく振り上げられた刀は勢いよく飛段の胸に下ろされた。






「ック！」





刃が胸に突き刺さる寸前、俺の影が奴に触れた。







「…ギリギリセーフか。


アスマ！」




何とか間に合ったことに安堵しながらアスマを呼ぶ。

早くこの状況を何とかしなければならなかった。






「…っ、くそ！」





アスマは立ち上がろうとして失敗した。
荒れだけ足を傷つけられたのだ。
もしかしたら大事な筋をやられたのかもしれない。





(考えろ……)







俺はどうすれば状況が好転するかを必死に探った。

しかし、徐々に影真似をかけているはずの飛段が胸に刀を近づけていく。



額に汗が浮かんだ。





“ぷつり”







刀の先が飛段の皮膚に刺さった。
じわじわと影真似の術が破られていく。





(だめだ！
此処で負けるわけには行かねぇんだ！)






俺はぐっと力をいれ飛段の胸から刀を遠ざける。



刀が飛段の胸から離れて近づいてを何度も繰り返した。





そのときだった。




「シカマル！危ない！」





チョウジの叫び声。
続いて体に走る衝撃。



音の消えた世界で全てがスローモーションに映った。