第6章 切り捨てと救済
sideーシカマルー
任務中、突如現れた暁の二人組と俺達は戦っていた。
もともと、暁の奴等と関わりのある任務だった為、ある程度予測されていた展開だった。
アスマを主体に、俺やイノ、チョウジは援護に回る。
今まで戦ってきたやつよりも遥かに強い二人組に、俺は震えそうになるのをぐっとこらえ、勝つための算段を練る。
しかし、その思考は敵の思いもよらない行動で遮られた。
「…何やってんだあいつ。」
暁の一人、確か飛段とか呼ばれていたやつが自分の体を切り裂き出したのだ。
「ぐっ!」
唖然としていると、アスマがいきなり崩れ落ちた。
慌ててそちらを向くと、敵の傷と同じ位置から血が流れている。
「そーいうことかよ。」
俺は敵の術を瞬時に理解した。
どうやら、あいつが受けた傷がアスマとリンクしているようだった。
(恐らく、あの円のような模様の中にやついることが術の発動条件だ。)
わざわざ模様の中心に立ち自分を痛め付ける敵を見てそう判断した。
「影真似の術!」
敵を影で縛ると、俺は陣の中から出るように誘導した。
そして、飛段が陣の中から出たのを確認するとアスマが軽く傷を負わせる。
もうアスマの体に奴と同じ傷が現れる事はなかった。
これで躊躇することなく敵を攻撃出来る。
俺の術で動けなくなっている敵の首をアスマがはね飛ばした。
しかし。
「何て奴だ。
首と胴が離れても生きてやがる。」
転がった首が喚き出したのを見て誰かがそう洩らした。
「角都ー!
なぁ、頼むよ~」
転がった首は、唖然とする俺達をよそに、もう一人の暁にふざけた口調で声をかけている。
すると、今まで戦闘を見ているだけだったやつが生首を掴んで歩き出した。
「………くっついちまいやがった。」
生首は飛段の体に乗せられると、落ちることはなくしっかりと安定した。
「今度は俺も参戦するぞ。」
仲間の首が繋がったのを見て、先程までは戦いに入ってこなかったやつがそう言った。