第6章 切り捨てと救済
雲隠れに向かいながら、私は数日前の事を思い出していた。
アスマか四尾の人柱力。
どちらかを見捨てるなんて出来ない。
それでもどちらかを選ばなければどちらも助けられない。
私は未だに答えを出せずにいた。
二尾の人柱力をめぐる戦いが終われば、決断の時は直ぐにやって来るのだ。
頭を掻きむしりたい衝動を抑え忍鳥を追う。
空は憎らしいほどの晴天だった。
アジトを出て二日目の夜。
雷の国に入った私と君麻呂は霧に包まれた森の中にいた。
「そろそろ目的を話してもいいんじゃないか?」
木の根元に腰掛けたままうとうとしていた私に君麻呂がそう言った。
『そうだね。』
目的地には一応着いたわけだし、ディアボロスによれば明日には二尾の人柱力と暁が接触する。
『暁って組織は知ってるでしょ?』
私がそう聞くと君麻呂は黙って頷いた。
『暁はなんの目的か尾獣狩りをしてる。
今回はそれを邪魔するのが目的。』
私が目的を告げると、君麻呂は余り驚いた様子を見せずに頷いた。
「でも、暁がいつここの尾獣を狩りに来るか分からないのにきたのか?」
私がディアボロスに未来を見てもらったことを知らない君麻呂は当然の疑問を投げ掛けてきた。
そこで、私は口寄せした忍鳥の能力で未来を見てもらったのだと説明した。
『暁が尾獣狩りをしてるって知って気になって見てもらったんだ。』
私がそう言うと、君麻呂は何かに納得したように頷いた。
きっと、ナルトとメンマの中に尾獣がいて、二人が私の大切な人だと知っていたからだろう。
『明日、暁の2マンセルが雲隠れの二尾に人柱力と接触するはずだから、人柱力から尾獣が抜かれる直前に助けに入るつもり。』
私が明日のことを説明し始めると君麻呂は首を傾げた。