第5章 迷い
サスケが里を抜ける未来を無くしたら、ナルトとサスケ、そしてサクラが原作通りに強く慣れないと思った。
けれど、果たして本当にそうだったのだろうか?
それに、三人が強くならなくてはいけない理由は何だろう。
木の葉の忍は強い。
急がずとも、守られながらゆっくり成長していけば良いのではないか。
いずれ来るかもしれない敵からは私が守れば良い。
カカシだっている。
(私が里を抜けたふりをして皆を悲しませる必要は本当にあったの?)
原作に沿っていかなければと思っていたのに急にそれが間違えだったような気がしてきた。
『…どうしたらみんな幸せになれる?』
悩みながらもカレーを作り続ける。
「中辛にしたら?」
その時、背後から声がした。
『君麻呂!?』
突然のことに驚き振り返ると、君麻呂が鍋の中を見つめていた。
「大蛇丸様は辛口、君は甘口…
だったら間を取って中辛にすればどっちも不満はないんじゃないか?」
突然そんなことを言い出した君麻呂に目が点になる。
(もしかして、さっきの独り言聞いて何か勘違いした?)
それに気付いてから、少しずつ笑いが込み上げてくる。
『ありがとう。君麻呂。
でも、この前甘口だったし今日は辛口にするよ。』
少し笑いながらもそう言うと、君麻呂は、そう、と台所を出ていった。
君麻呂のボケで、悩んでいたことが何故かバカらしくなってきた。
(それより、もう過ぎたことより、これから先の未来を出来るだけいい方向に持ってけるように頑張ろう!)
何となくやる気がでて、鍋にルーを投入した。