第2章 新しい生活
「…ルミ、大蛇丸様がそろそろ戻って来るように言ってるよ。」
アグレアスが消えてすぐ、私の元に君麻呂が現れた。
『了解!』
私は返事をすると君麻呂の横に並んだ。
大蛇丸は里抜けしてすぐの私に部下として君麻呂を付けた。
そのため、私はよく君麻呂と行動を共にする。
『……そっか、そろそろお昼の時間だもんね。』
私はそう言うと、アジトに向かう足を早めた。
アジトにつくと、私は急いで服を着替えて調理場へ向かった。
そこには意外ときちんとした器具が揃っている。
私はてを洗うと冷蔵庫を開けた。
(胃袋を握るっていうけど、本当よく言ったもんだよな~)
私は そんなことを思いながら冷蔵庫を漁る。
私の料理を一番気に入っているのは、驚くことに大蛇丸だった。
私がアジトで大蛇丸やカブト、君麻呂の食事を作るようになったのは、木ノ葉を抜けてすぐだった。
一人部屋で食べているせいもあったのだろうが毎日買ってきたような弁当の味気なさに我慢出来なくなり、大蛇丸に訴えた。
私は用意された調理場で、一人分より多人数の方が材料も余らないし作りやすいと言うことで私は四人分の食事を作ることにした。
そして、無理やり一緒に食べさせることに成功したのだ。
最初は食事の席は静まり返っていて、居心地のいいものではなかった。
だが、今では暗黙の了解で食事の時は四人でとなっていた。
(ってか、この世界の奴ら本当素直すぎだよね。)
私は玉ねぎを刻みながら考える。
大蛇丸は本当に反抗期の子供だったように思えてならない。
私は大蛇丸が、異常なまでに親の愛情を求めている気がした。
大蛇丸が私の手料理を気に入っているのはそのせいもあるのかも知れない。
一番衝撃的だった記憶は、里抜けしてすぐの修行の時だった。
修行の為と言って大量殺人をさせようとした大蛇丸を私は説教したのだ。
…そう、説教。
鼻で笑われるかと思えば、大蛇丸は呆然と私を見ていた。
説教の内容より、説教されたと言うことに驚いているようだった。
それを見た時、私は大蛇丸は今まで誰かに叱られたことがないのだと気づいた。
(私が大蛇丸を教育しなきゃ)
私が思わず年上相手にそんなことを思ってしまうほどショックだった。