第2章 新しい生活
「…ワシをそこらの忍鳥と一緒にするな。」
アグレアスはそう言うと、次の瞬間老人に変化していた。
『……人型になれたんだ…』
思わずそう言う私を見下ろして、アグレアスは口を開いた。
「ワシ等、狗翁森<クオンモリ>に住むモノはみな、ただの忍鳥ではない。
狗翁森ではディアボロス様を頂点に様々なモノが使えている。
そして、そのそれぞれがこうしてカラスとはまた別の姿を持っている。」
アグレアスはそう言うと、ただの忍鳥は鳥のままだと言った。
「…お前の父親は俺だけでなく頂点であるディアボロス様とも契約していたぞ。
…まぁ、始めの時の一度しか口寄せしたことはなかったようだが…」
アグレアスの言葉に、私の次の修行の目的が決まった。
『……私も、口寄せ出来るかな…』
私がそう言うと、アグレアスは再び笑った。
「…今のお前では無理だな…
まぁ、ディアボロス様の一つ下の位までだったらなんとかなるかもしれないがな。」
アグレアスの言葉に私は肩を落とした。
「…そう言えば、ワシの力が知りたいんだったな?」
アグレアスの言葉に、私は口寄せをした理由を思い出した。
「ワシはものの尊厳を破壊することができる。
主に、奇跡を奇跡でなくすることができる。」
アグレアスの説明に私は首を傾げた。
「…つまり、ワシの力を使えば簡単に奇跡も起こせるし、その逆もできると言うことだ。」
アグレアスはため息をつきつつも説明してくれた。
『……へぇ…』
私は何となく分かったような分からないようなまま返事をした。
アグレアスはそんな私に再びため息をつく。
「…まぁいい。それより、誰か来たようだ。
ワシは戻るぞ。」
アグレアスはそう言うとポフンと音を立てて消えた。