第5章 迷い
「今のは…螺旋丸?」
突然に吹き飛ばされたナルトが体を起こしながら呆然と呟く。
サク(ナルトの螺旋丸に比べたら小さかったのにあの威力?)
同じく吹き飛ばされたサクラもルミを見ていた。
『それだけじゃないよ。』
私はそう言うともう一度同じようにしてサイに指先を向けた。
『千鳥弾!』
さっきと同じように球体が放たれた。
違うのは、術が風の性質変化ではなく雷の性質変化を帯びていること。
青白いそれは旋風弾よりもスピードが早い。
甲高くチチチと鳴きながらサイへとぶつかった。
“バチバチバチ”
「ぐっ!?」
千鳥弾はサイにあたると音をたてて消えた。
そして、サイは硬直したあとに膝をつく。
千鳥弾の雷で感電したからすぐには動くことが出来ないだろう。
私はテンゾウに瞬身で近づくと腹部に拳を叩き込んだ。
“パシィッ”
しかし、その手はテンゾウの手のひらにおさまった。
「捕まえた。」
『………。』
テンゾウは私の拳をそのまま掴むとそう言った。
そして、その手を引き寄せる。
「[元気そうで良かったよ。]」
それから小声で続いた言葉に、私はつい笑みを浮かべそうになった。
しかし、何とか無表情を保ち懐から巻物を取り出した。
ほぼ密着した状態でそれをテンゾウに渡すと、彼のアゴめがけて足を振り上げた。
「おっと!」
テンゾウは巻物をしっかり受け取り、私の蹴りを避けた。
二人の間に隙間が出来る。
テンゾウの手が離れ、私は崖の上…いや、地上に飛び上がった。
いつの間にか大蛇丸がカブトを連れて立っていた。
「……ルミちゃん、随分と派手にやったのね。」
大蛇丸は崩れたアジトを見て楽しそうに口元を歪める。
(…悪役みたいな笑い方)
「こっちに上がってきたってことはもう用はすんだの?」
私を見てそう聞いてきた大蛇丸に、私は巻物のことがばれたのかとヒヤリとする。