第11章 兄弟の絆
『イタチさん、父に預けられた私の目。持ってますよね?』
私がそう言うと、イタチはハッとした。
『イタチさんの目をサスケに移植するなんて、私には出来ません。』
私はそう言いながらサスケに応急処置として医療忍術を施す。
これでサスケが死んでしまうことはないだろう。
「里を抜けるとき、一族の集会所に置いてきた」
『わかりました。行きましょう』
イタチの言葉にすぐにそう返すと、驚いた顔を向けられる。
しかし、私は構うことなくイタチにクナイを渡してからサスケを肩に抱えた。
そのまま印を組む。
次の瞬間には、懐かしいうちはの集落にある我が家に立っていた。
『飛雷神の術って便利だわ』
サスケを下ろしてから、再び印を組みイタチのもとへ戻る。
イタチはクナイを持ったまま固まっていた。
だが、私が戻って来てすぐ、渡されたクナイに術式が刻んであるのに気付くと納得したような表情になる。
『さあ、行きましょう』
今度はイタチさんの手を握り、我が家へ飛んだ。
「これだ」
イタチさんと飛雷神の術でサスケのもとに着くと、直ぐに集会所へ向かった。
そして今、私の前に自分の眼球だったものが差し出されている。
写輪眼を発動したまま液体に浮くそれは、かつて読んだ少年漫画に出てきた緋の目を連想された。
私は液体からその目を取り出すと、サスケの目が入っていた位置に嵌め込み、医療忍術を施す。
(こんなグロいこと平気で出来るようになるなんて)
そんな、今さらな上に緊張感の欠片もないことを考えながら両目を入れた。
「サスケは、大丈夫なのか?」
移植を終え、サスケの眼を私の眼が入っていた容器に入れる私にイタチが声をかけてくる。
『はい。神経が繋がるまで暫くは何も見えなくなると思いますけど、それ以外は問題ない筈です』
私がそう答えると、目に見えて安心した顔になった。
『ところでイタチさん、サスケの目、どうします?』
暗に、イタチに移植するかとたずねる。