第11章 兄弟の絆
『角膜に傷ついてますけど、治せますし。
イタチさん、もう殆んど見えてないんじゃないですか?』
そのためには、イタチの眼を抜き出さなくてはならない。
それでも、イタチがサスケの眼を移植すると言うならその恐ろしい行為もしようと腹をくくった。
「いや、俺はこのままでいい。
……友の命と引き換えに手に入れた眼だからな」
イタチの答えは私の予想していたものではなかった。
しかし移植しないと言ったことに対する驚きよりも、その理由に私は眼を見開いた。
『ありがとうございます』
そんな言葉が無意識にこぼれる。
父の事を大切に思ってくれているのだと、嬉しかった。
先程までの緊迫した雰囲気から、優しいものに集会所の空気が変わる。
だが、それは急な地響きによって壊された。
「なんだ!?」
慌てたようにイタチが未だ気を失っているサスケを抱える。
急いで集会所を出ると、里が襲撃にあっていた。
『イタチさん、サスケを連れて里の外へ!
木ノ葉は私が守ります!』
何が起きているのか、原作知識からすぐに把握した私はイタチに早口でつげる。
『私を信じて下さい』
何か言おうとしたイタチが口を開く前にそう言った。
「……また会おう」
イタチは躊躇ったようだったが、サスケを連れて姿を消した。
『変化!』
イタチを見送ってすぐ、私はサスケの姿に変化する。
そのまま、戦禍の中に駆け出した。