第11章 兄弟の絆
「兄さんっ!」
タイミングがいいのか悪いのか、その声が聞こえたのはダンゾウとの勝負が着いた直後だった。
「サスケか…」
振り向くと、サスケが近づいて来るのが視界に入った。
「俺に復讐しに来たか。」
とうとうこの時が来たのだ。
望んでいたが、永遠に来ないで欲しかった。
しかし、サスケの答えは俺の予想とは違っていた。
「いや。
俺は兄さんに復讐なんてしない。
俺が強くなるために、一人でも生きていけるように復讐を理由に強くさせようとしてたんだろ?」
(何故それを……)
俺を憎むようにそうすることが当たり前なのだと疑問すら持たないように仕向けて来たはずだった。
(俺は何処かで詰めを誤ったのか?)
「サスケ、どうやらお前は勘違いしているようだ。
俺がお前を強くさせようとしたのはそんなことが理由ではない。
この目の事…お前はどこまで知っている?」
しかし、此処で計画を失敗する訳にも行かずシナリオ通りに行くように言葉を選ぶ。
「俺の目はほとんど見ることが出来なくなっている。
ルミは父であるシスイの目を移植したことによってその力を固定させた。」
サスケは俺が告げた事実に驚いたままこちらを凝視している。
「つまりそう言うことだサスケ。
俺はお前の写輪眼を奪ってこの力を完全なものにする。
その為だけに、お前は俺に生かされた。」
そう言うと写輪眼を発動させサスケに目をくり貫かれる幻覚を見せる。
サスケは幻術を破ると真っ直ぐな目で俺を見つめた。
まだ、俺とは違う三つ巴の写輪眼。
これが俺を殺す時、変化するのだろう。
「生きたければ俺を殺すしかないぞサスケ。
俺はお前を逃がさない。」
もう一度幻覚をかけ、わずかな応酬の後、俺たちは再び見つめ合った。