第11章 兄弟の絆
side-イタチ-
予感がした。
暁のアジトを出て木の葉里へ向かう。
もう少しで木の葉だと言うとき、離れたとこれで禍々しいチャクラを感じた。
それは16年前に木の葉を襲ったものと同じものだった。
(何かあったか?)
俺は迷わずチャクラのもとへ向かう。
たどり着いた先には、息絶えた根の者であろう忍。
それからクシナさんに良く似た少女とサスケ、そしてダンゾウの姿があった。
(狙いは写輪眼だけではなく、この九尾のチャクラを持つ少女もか…)
どうやらダンゾウの狙いはこの少女とサスケのようだ。
「二兎追うものは一兎も得ずと言う言葉を貴方は知らないらしい。」
木上から見下ろしたまま声を投げると、ダンゾウとサスケが同時に俺を見た。
「兄さん…」
「うちはイタチか。」
自分を見る弟の目が思っていたのと違うことに戸惑うが、それを隠してダンゾウを見据えた。
「クッ!」
ダンゾウは忌々しげに視線をそらすとこの場を離脱する。
(残念だが、逃がすわけにはいかなくなった。)
俺はサスケを置いてダンゾウの後を追った。
「オレがサスケの安全を約束にあの任務を受けたことは貴方も知っていたはずだ。」
ダンゾウに追い付き、彼と向かい合った俺は目を細めてそう言う。
「ルミの写輪眼が手に入らない事にしびれを切らしたか?」
ダンゾウがルミの事をこそこそ調べていたのは知っている。
俺の言葉を聞いたダンゾウは苦々しい顔をした。
「ならば弟の無事の為にうちはルミの写輪眼を持ってくるか?」
ダンゾウはあの任務の時のようにとでも言うかのように嫌な笑いを浮かべる。
それが見るに絶えず目を瞑る。
愛しい弟と親友の娘の笑顔が見えた。
「…その必要はない。」
再び開かれた俺の目は赤く、複雑な模様が浮かんでいるはずだ。
「貴方には此処で死んでもらう。」
ダンゾウの手に渡った沢山の一族の目を睨み付けてそう言った。