第11章 兄弟の絆
「サスケか…」
俺の声に気づいた兄さんが振り向く。
俺はゆっくりと兄さんに近づいた。
「俺に復讐しに来たか。」
兄さんは俺と向かい合うとそう言った。
「いや。
俺は兄さんに復讐なんてしない。
俺が強くなるために、一人でも生きていけるように復讐を理由に強くさせようとしてたんだろ?」
俺がそう言うと兄さんはわずかに目を大きくした。
「サスケ、どうやらお前は勘違いしているようだ。
俺がお前を強くさせようとしたのはそんなことが理由ではない。
この目の事…お前はどこまで知っている?」
兄さんはそう言うと一歩俺に近づいた。
「俺の目はほとんど見ることが出来なくなっている。
ルミは父であるシスイの目を移植したことによってその力を固定させた。」
俺は兄さんに告げられた二つの事実に驚きながらも口を挟む事なく耳を傾ける。
「つまりそう言うことだサスケ。
俺はお前の写輪眼を奪ってこの力を完全なものにする。
その為だけに、お前は俺に生かされた。」
兄さんはそう言うと写輪眼を発動させた。
兄さんが俺の目をくり貫く幻覚に襲われる。
すぐさまそれを破れば目の前に立っている兄さんと眼があった。
「生きたければ俺を殺すしかないぞサスケ。
俺はお前を逃がさない。」
兄さんはそう言うと再び幻覚をかけてくる。
ほんの少しの幻覚の応酬の後、俺は真っ直ぐ兄さんを見た。
「俺は、兄さんともう一度木の葉の里で一緒に暮らしたかった。
そのために、火影になろうとも思った。」
俺がそう言うと、ぴくりと兄さんの手が動く。
「兄さんに俺は殺せない。
だから、俺が殺すしかないんだな…」
俺がそう言うと、兄さんの目が今度こそ見開かれる。
「また背負わせる事になるってことは分かってる…
ごめんな、兄さん。」
(それでもオレは…)
次の瞬間、俺の目の前は真っ赤に染まった。