第11章 兄弟の絆
その姿は何処かで見覚えがあった。
(九尾の暴走か!?)
ナルトが九尾を暴走させたときと酷似するそれに構える。
メンマが根の奴らの最後の一人を地に伏せたとき、俺は写輪眼で押さえ込もうとメンマの正面に回り込んだ。
"ドサッ"
しかし、メンマは写輪眼を見る前に倒れた。
急いで近づき、呼吸を確認する。
メンマはただ眠っているだけだった。
九尾のチャクラも感じ取れなくなっている。
一息ついてメンマを背中に背負おうとした。
その時、感じた気配に俺は顔を上げた。
「…ダンゾウ。」
いるはずのない里の上層部に顔をしかめる。
「あんたが黒幕か。
こいつをどうするつもりだった?」
俺がそう言うと、ダンゾウは嫌な目でこっちを見てきた。
「うずまきメンマはおまけだ。
本当の目的はうちはサスケ、お前の写輪眼だ。」
その言葉を聞いて、俺はこれでもかと言うほど眉間にシワを寄せる。
そして戦闘が始まろうかと言うとき、俺は懐かしい声を聞いた。
「二兎追うものは一兎も得ずと言う言葉を貴方は知らないらしい。」
木上に立つ、俺と良く似た男。
「兄さん…」
「うちはイタチか。」
たった一人の家族がいた。
「クッ!」
ダンゾウはぶがわるいと思ったのか、兄さんを見てこの場を去ろうとする。
兄さんはそれを追った。
(クソ!)
俺も後を追いかけようとしてメンマを置いていく訳にもいかず踏みとどまる。
数分後、俺達を護衛として尾行するはずだった暗部がやって来たのを見てやっと来たかとため息をついた。
「やはりこの任務は罠だった。
ダンゾウが仕組んでいたようだ。あんた等はこいつを頼む。
俺は…ダンゾウを追う。」
俺はそう言うと5代目が送ってきた暗部の返事を待たずに駆け出した。
「兄さんっ!」
たどり着いたそこでは、地に伏したダンゾウと真っ赤な目をした兄が佇んでいた。