第10章 助けた理由
アジトに着くと、私は空いている部屋に自来也を放り込んだ。
『きちんと怪我が治るまでは此処に居てください。
そのまま戦いに行ったって死ぬだけでしょうから。
後、この場所を木の葉に教えるのはまだやめてくださいね。もう少し此処にとどまる予定なので。』
早口にそう告げると部屋を出る。
(この後の木の葉崩しでは、死ぬ人は確かいなかったよね?)
私は朧気な記憶で、この木の葉崩しが原因でナルトが英雄視されることを思い出す。
(わざわざ首を突っ込む必要もないよね。)
自分の部屋に向かう道を歩きながら顎に手を当てる。
そろそろ本当に私のまったく知らない未来がやってくる。
後はサスケがイタチを殺してしまったことくらいしか覚えていない気がする。
(でも、それは私がサスケにイタチの任務を教えて里抜けを防いだから無くなっただろうし。)
『後は、ナルトを幸せにすれば……』
今は、それが私がこの世界で生きる意味だったような気がした。
『調子はどうですか?』
翌日、自来也のもとへ行くと彼はベッドで体を起こしたままこちらを警戒していた。
『これから貴方を木の葉まで送ることにしました。』
そんな自来也に向かってそう言うと彼は驚いたようだった。
『貴方にここにいてもらう意味もないし、怪我が良くなってきて何かされても困りますから。』
少しおどけてそう言うと、自来也は眉根を寄せた。
『立てますか?』
私はそんな自来也に近づくと肩を貸して立たせた。
「お前さんの目的は何だ?」
そう聞いてきた自来也に、私は昨日答えた通りだと返すと飛雷神の術でアジトの外へ出た。
マンダを口寄せして、自来也と共に木の葉の里の近くまで連れて行って貰う。
自来也は依然警戒したままで沈黙がしばらく続いた。
火の国に入ると私はマンダに戻ってもらい、そこからは歩きに変えた。
『自来也さん、そういえばついでで頼まれてほしいんですけど…』
マンダがいなくなり、肩を貸して歩きながら私は自来也に話しかけた。