第10章 助けた理由
「なっ!?」
印を組終わると同時に現れた人影を見て、自来也は目を見開いた。
「あら、もういいの?」
その場に突然現れた大蛇丸は一瞬固まったあと私を見てニタリとした。
『はい。
…今のは飛雷神の術の応用です。』
大蛇丸に返事をしてから、突然現れた彼に驚いている自来也にそう言った。
これは、自分がマーキングに飛ぶのではなく、マーキングしたものが自分のもとに飛んでくるという術だ。
「本当に成功するなんてね。」
大蛇丸が術式の書いてあるリストバンドを撫でた。
飛雷神の術とは少し違う模様がかかれているそれは私が此処に来る前に渡したものだった。
『…信じてなかったんですか?』
此処に来る前に説明したのにと、少し拗ねると大蛇丸はそんなことはないと笑った。
「…目的は何だ?」
大蛇丸と話していると自来也がこちらを睨み付けてきた。
「目的ね……。」
大蛇丸は楽しそうに自来也を見たあとこちらを向く。
『ナルトの幸せのついでに世界平和です。』
自来也の眼が大きく見開かれた。
「ウフフ。
普通、逆じゃないかしら。
それから、ワタシの目的は貴方に貸しを作ることよ。」
大蛇丸は自来也と対照的に落ち着いて笑みを浮かべていた。
『別に貴方をどうこうしようなんて思ってないですから安心してください。』
私は、未だこちらを警戒している自来也にそう言うと彼を支えて立ち上がらせた。
『本当は木の葉の里に送りたいところなんですけど、せっかく助けたのに死なれても困るからアジトに来てもらいますね。』
これからあるはずのペインによる木の葉崩しを思ってそう言うと、自来也は怪訝そうな顔をした。
「ワシにアジトをばらしちまっていいのか?」
アジトに向かう途中、黙っていた自来也が突然話しかけてきた。
『数あるうちの1つなので。』
私がそう答えるのを大蛇丸が楽しそうに見ていた。