第10章 助けた理由
『今のアジトの場所と二尾の人柱力を保護していると言うことを綱手様に伝えて下さい。』
私がそう言うと、彼は目を見開いて私を見下ろしてきた。
「まさか……」
私の言葉に驚いていた彼は何かに思い至ったようで、しかし信じられないと言う顔で私を見た。
『お察しの通りだと思います。』
私がにこりと微笑めば再び彼は驚愕に目を見開いた。
「ってことは、下忍になってすぐからこんな危ねぇ任務に付いとんのかい…」
自来也は額に手をあてて呟くようにそう言った。
『私からお願いしたんですよ。
…この事は先生を含む7班に内緒なんです。』
私がそう言うと、自来也は苦々しい表情で聞いていた。
「もうここまでで大丈夫だ。
お前さんはあまり近づかない方がいい。」
1日かけて木の葉の里まで自来也を連れていくとまだ門まで距離があると言うのに彼はそう言った。
公には抜け忍となっている私に対する気遣いだった。
「なぁに、ワシも三忍の一人。
このくらいの怪我でこれっぽっちの距離を移動できないなんて事はない。」
自来也はそう言うと一人で立つ。
『…それじゃあ、気を付けて下さいね?』
私は少し戸惑いつつもそう言うと、その場を瞬身で離れた。
それからそのままアジトに帰ろうとした私は、途中で懐かしいチャクラを感じて立ち止まった。
『何で?木の葉の里にいるはずじゃ…』
木の葉の里から離れた所だと言うのに何故だと首を捻る。
(様子見に行って見よう。)
私はアジトへ向かっていた体を違う方に向けて駆け出した。