第10章 助けた理由
「フフフ。
アイツの驚いた顔を見るのが楽しみだわ。」
アスマを木の葉に送ってアジトに戻った日の夜、私は未来を知っていると言う事実を、大蛇丸やカブトに君麻呂にしたのと同じように話した。
そして、私に協力してくれると言ってくれた大蛇丸とともに雨隠れの里に向かっていた。
目的は自来也を助ける事だ。
私のすぐ横を走る大蛇丸は笑顔でそう言った。
しかしそれは笑顔の前に悪そうなと付くような表情だ。
正直なところ、前回人柱力を助けることが出来なかった事で今回も不安だった為、大蛇丸が力をかしてくれるのはかなり心強い。
カブトと君麻呂は万が一暁にバレて二尾の人柱力が連れていかれることのないようにアジトに残るように大蛇丸が指示を出した為、ここにはいない。
「さぁ、アイツに貸しを作りに行くとしましょうか。」
暁と戦っている白髪の男が遠目に見えてきた頃、大蛇丸が嬉しそうに呟いた。
自来也が水中に沈んで行くのと同時に私と大蛇丸はそこにたどり着いた。
「良いタイミングじゃない。」
そう言った大蛇丸は直ぐに水中から自来也を引き上げて私にわたす。
自来也は目を見開いて大蛇丸を見ていた。
私は自分よりはるかに大きな男を抱えると、飛雷神の術で此処に来る途中でマーキングした場所まで飛ぶ。
「…そ、のじゅつ…は……。」
マーキングした場所に飛ぶと、自来也は驚いた顔のまま切れ切れにそう言った。
『そう言えば、貴方はこの術を創った人の師匠でしたね。』
私は自来也に医療忍術を施しながらそう答えた。
「…お前はた、しか、うちはルミだった、な?」
医療忍術で回復してきたのか自来也は先程よりしっかりした口調で聞いてきた。
『そうですよ。
…私の医療忍術ではここまでが限界です。』
私は答えると、そう続けた。
オホゲツを使えば完治させることも出来そうだが、自来也の中ではまだ私たちは敵同士だろう為にそれは得策ではない。
私は何か言おうとしている自来也を横目に印を組んだ。