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私は貴方に恋をした

第1章 私は貴方に恋をした


「それでなぜ朱里があのように泣く」
「今日、試しに作った時にたまたま朱里が遊びに来て、慌てて、他に言いようがあったはずだけど咄嗟に思いつかなくて誤魔化したら……」
「弁明をする前に逃げた、か?」

言葉遣いなど気にする余裕などとっくに消えている楓は、乱れた息を整えるようにしながら切れ切れに説明すると後を引き継いで男がのたまう。
神であるこの男は、朱里を可愛がっている様であるとは思っていたが、まさか引きずりこまれてこんな仕置きをされるとは予想外だと楓は飛びそうな意識を必死に繋ぐ。
楓の説明に、何か考え込んでいた男が不意に楓に視線を向けた。面に隠れたその表情も視線も見えないが、意識を向けられたということは解る。
落ちそうになる瞼をこじ開けて見上げれば、男がゆっくりと告げてくる。

「なぜ、誤魔化した?」
「霊力がまだ足りない……土地は安定しても、庭が揺らぐ、固定しない。あのままじゃ、見せてもぬか喜び……」
「ふむ……お前は、力を持つことを拒否しているな。過ぎた力は確かに身を滅ぼすが、その事実を知り、忘れなければ力に踊らされることはない。要は、お前がきちんと御せれば良い」
「何を……?」
「我がお前を特訓してやろうぞ。力がなければ死ぬのみ。のぅ? 力を欲しても、お前が欲に溺れず御せれば力なぞいくらあっても問題あるまい?」
「ぐっ……はっ、ちょっ、何っ?!」
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