• テキストサイズ

私は貴方に恋をした

第1章 私は貴方に恋をした


汗だくだから嫌がるかと一瞬考えた楓だが、引き寄せたらぴったりと背中を寄せてくる朱里にほっとしながら落ち着いた声で問いかける。
耳元にかかる息に僅かに身震いした朱里は少しの間の後、ポツリと落とした。何のことか判らず、素で声を漏らせば示されたのは昨日。そして、昨夜の泊まった経緯を思い出し記憶を失くさない朱里の酒癖を思い出すと、漸く合点がいった楓は更に声を漏らす。
朱里が落ち込む理由に思い至るになり、苦笑しながら朱里を抱く腕を一度放してくるりと身体を反転させて向かい合う。
朱里の方は楓の言葉がイマイチ理解出来ていないのか呆けた表情で、目を瞬かせて楓を見つめてくる。

「俺が、そう教えたの。言ったろ? 気持ちいいキス教えてやるって」
「あ……」
「朱里は全部俺の好みなんだから、俺にだけならもっとだらしなくなっても良いんだよ? まぁ、出来ればいくら兄弟みたいだって言っても刀剣たちには触れるだけに留めて欲しいけど」

額を寄せて、コツンと小さく触れ合せ、瞳を覗き込みながら言えばその時を思い出したのか朱里から小さな声が漏れる。
続いた言葉に顔を真っ赤にしながらも小さく頷いて、腕を伸ばして抱き着いてくるのを受け止めるとぎゅぅっと抱きしめ返す。

「あ……そういや俺汗だくだった。よし、とりあえず風呂入ろう」
「え? わっ、ちょっ、楓さんっ?!」
「うーん、やっぱりもうちょい鍛えないとダメかなぁ……」
「ちょっと待って! 降ろしてっ! 楓さんってばっ!」

そのまま抱擁し合って落ち着いていた朱里を、思い立った楓が抱き上げ降ろしてと言うのをスルーして離れへと連れ去るのはそのすぐ後の話。
/ 116ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp