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私は貴方に恋をした

第1章 私は貴方に恋をした


文句を言いたそうだった膝丸は、楓と朱里の会話で撃沈されてがっくりと肩を落とすと楓から手を離した。
楓は引っ張られたフードを直しながら改めて朱里を見る。視界に収まった朱里は最初の驚きを乗り越えたのか、楓の服装を上から下まで舐めるように見ているので楓も同じように見てやる。
朱里の今日のスタイルはチャイナ風を取り入れたゴスロリのワンピースだ。黒を主体に花柄の布地が胸元からスカートまであしらわれ、全面は一部を摘まんで組みひもでくくってある。
ふんわりとしたスカートで、上着に袖幅の広いショートカーディガンを羽織っている。髪も緩くまとめてあるが全体的に可愛らしい。
大して、楓の方は体型を全面に出すようなスタイルでマーメイドタイプに首から肩にかけて布地を被せたような袖の付いたロングドレスにフードがついて全面は腰ほど、背面に向かって裾が足首近くまであるパーカーを羽織っている。

「似合う?」
「うん! すっごくっ!」
「ふふ、朱里も可愛いわ」
「うっ……な、なんかちょっと恥ずかしい……」
「あらら……と、そろそろ会場に行かないと演練に参加できなくなっちゃうわ、行きましょう?」
「あ、ほんとだ! うん、行こう!」

久しぶりの呉羽の姿に照れた朱里を柔らかい笑みで見ていた楓だが、ふと気づいて朱里を促すと会場に向かって歩き出す。
自然と楓から朱里の手を掬って指を絡めると、ぱっと振り仰いでくるのにふわりと笑えば嬉しそうな笑みと共に握り返されて二人で廊下を歩く。
会場に入ると、参加者たちでにぎわっている。朱里と楓が揃って席を取り座っていると外野からの誘いが鬱陶しいが、それらは全て楓と膝丸、数珠丸、それに明石が追っ払っている。
くじに従って進む演練の様子を眺め、時に順番により戦闘をこなしながら最後の戦闘が朱里と楓の対戦となった。

「わっ、呉羽さんのとこと当たるの初めてだ」
「そうねぇ、そもそも演練でこうして対戦出来ることも稀だし。良い試合が出来ると良いわね?」
「うん!」
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