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私は貴方に恋をした

第1章 私は貴方に恋をした


名前を呼ばれ、いよいよ対戦になると朱里は楽しげな表情で言い、それに楓も微笑んで返す。
戦闘の準備をするために分かれ、楓は自分の陣地へと移動した。

「さて……戦力的に相手の方が上だけど、ただで負ける気はないわよ?」

互いに位置について、試合開始の合図と共に刀剣たちが動き出す。朱里の部隊は数珠丸、膝丸、蛍丸、石切丸、太郎、次郎である。
布陣は楓の方が有利を取ったが、火力は断然あちらの方が上である。練度は大体互角程度であるから、あとはどちらが粘るかの勝負。
楓側は長谷部の機動力で朱里側の刀装を削り、あわよくば勝ちに行く。大太刀は若干遅くなるものの相手の方とさほど変わらず、互いに鍔を合わせにらみ合う。
どちらも引かない接戦に見ている他の審神者たちが唖然としているのを、当事者たちだけが知らない。
試合は結局、太郎、次郎以外に居た大太刀を太刀では抑えきれず、珍しく明石がやる気を出していたのだが押し負けて楓の敗戦となった。

「うーん、せめて引き分けに持っていくにはやっぱり同じメンツが必要かしら……?」
「数珠丸と膝丸を抑えながらやるんは無理や……」
「何よ、みっともない。しゃんとしなさい、あっちの蛍が笑うわよ?」
「うぅ……」
「いやはや、しかし、楽しかった」
「そうねー、久しぶりに思いっきり暴れた気分だし、これで美味しいお酒をぐいっと!」
「次郎……あまり飲み過ぎるのは良くないんだ」

負けてボロボロになりながらも楽しげな様子で戻ってきた刀剣たちに楓が労い、反省会をしていると反対側から膝丸が朱里を抱きかかえた状態であちらも戻ってくる。

「お疲れ様、楽しい試合になったみたいね?」
「呉羽さんとこ強いよぅ……うちの一軍で完全勝利は無理でも判定A取りたかったのに!」
「ふふ、残念。今度は本丸の稽古の時にやりましょう?」
「え? いいの?!」
「練習だから木刀でね?」
「うん!」

傍まで辿り着いて、膝丸から降ろして貰った朱里と会話をしながら楓はまだ続く演練を見学するか相談しながら戦場から移動していった。
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