第1章 私は貴方に恋をした
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祖母の遺産を朱里、長谷部、数珠丸達で整理してた時に
長谷部は遺産の総額に唖然としてた
「祖母殿は主を相当大事になさってたのですね」
「お祖母ちゃん、私こんなにいらないよう」
ふと数珠丸は顔を上げ、楓が来た事を伝えると
重要書類から目を離して花が咲いたような笑顔を見せる
「楓さん!」
「邪魔をする、進んでるか?」
「ええ、遺産の総額に朱里が途方に暮れていましたよ」
「は?」
朱里を膝の上に乗せて、どれどれと総額の書いた書類を見て顔が引きつった
「何で億行ってんだ」
「祖母殿が主が困らないようにいくつか保険にも入っていらっしゃった様で」
困らないようにした結果、親族に狙われたんだけどな、と楓は内心苦笑いを溢す
「朱里はどうしたいんだ?」
「うーんと、困らない程度の額は貯金して残り全部寄付しようかと」
欲の無い朱里らしいなと頭を撫でると猫の様に目を細めて楓にすり寄る。
「どこに寄付するんだ?」
「ええと、そこは松本さんと相談したんだけど、孤児院、博物館あたり。松本さんにまるっと投げちゃおうかと」
何かあった時にと3千万ほど貯金、他のこの億単位を全部寄付とか
どうしようこの無欲な恋人。愛おしすぎて…食って良い?
「動物愛護団体に寄付しようとは思わないのか?」
前に動物好きだと言っていた朱里にしては珍しいなと疑問に思って聞いてみると
「前に動物愛護団体を名乗って、神社とかの神事まで妨害してる団体をニュースで見てるからそっち系には寄付したくないの」
石切丸が呆れてたんだよ、と口を尖らせて
「寄付するとしたら動物を保護して里親探ししてくれてる所かな」
長谷部は主らしいとにこにこと笑っていて
数珠丸も朱里の頭を撫でる
ああ、ここの本丸は本当に朱里に優しい。
「楓、時間があったら来い」
ふと珍しく膝丸に呼ばれ、行ってくると朱里の頭を撫でて向かうと
ばっと新聞の記事を見せられ