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私は貴方に恋をした

第1章 私は貴方に恋をした


久し振りに帰ってきた我が家はここずっと本丸に居たせいか
屋敷がシン、と静まりかえってる

楓さんの知人だと言う松本さんが荷物を運び出せる様に入り口にゲートを作って下さって

「ありがとうございます、松本さん」
「ん?気にするな、ほら、もって帰りたい家具を持っておいで」

岩融を連れて屋根裏を見て驚いた
多分相続の書類を探して漁ったんだろう
衣装ケースは開かれ中の物は無惨にも引き裂かれたり。
運ぶどころじゃない。

「主よ…大丈夫か?」
「う、うん。ありがとう岩融、ここには、家具は無いから1階に行こう」

1階の居間の前で立っていた三日月と数珠丸の表情をみて、少し察した。
入って行こうとすると三日月から正面から抱き締められて。「見るものではない」と悲しそうに抱き締められる。
大丈夫だよと笑って居間の惨状を見るとまるで強盗が入ったかの様な惨状

無事な家具は岩融と膝丸が本丸に運ぶなか
大切な父と母、祖母が眠る仏壇も引き出しが荒らされていて涙が止まらない

長谷部は埃の被ったテーブルの上を綺麗にしてから
祖母の遺産の持ち出しと土地を売却するに当たって業者に連絡する前に警察に電話して事情を話す

「あるじさま、なかないで」

いまつるちゃんに抱き締められて私は思わずしがみついて泣いた。
煌鴉も、楓もそれをただ見ているしか出来なくて
楓はギリッと唇を噛む

「はーい、あるじさま、これをもってかえったらどうです?」
「これ…」
「あるじさまとおばあさまが、たっくさんうつってました」

此れを持って帰りましょう。
アルバムを抱いて、執務室に置いてもらおうと岩融に渡して。
遺産は長谷部が本丸に持って帰れるように引き出し。
屋敷は業者にお願いして土地だけにし
売れるものは全部売って。
家を出る、この時代から出る事を決心した。

作業中、楓さんと膝丸は私を取り入れようとする親戚や元彼をコテンパンにしたのに全然気付かなかった。
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