第1章 私は貴方に恋をした
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「朱里さまがおめでたと聞きまして!」
朱里の本丸の朝食時、こんのすけが現れたと思ったら
そんな言葉が出てきたものだから
本丸に居る全刀剣が噴き出しそうになったり噎せかえる。
膝丸なんか兄に止められながら抜刀しそうになってたり
「こんちゃんこんちゃん、私別に身籠ってないからね?」
「お付き合いが始まれば自ずと子も出来ましょう!」
あ、駄目だこの狐聞いてない。
その場に居る刀剣達は気を取り直し各々食事を再開したとこで
こんのすけは更に爆弾を落とす
「わたくしめと向こうのこんのすけ、頑張らせていただきました!サプライズでここの本丸と楓さまの本丸の空間を繋げて」
ここで一旦切り、すうっとこんのすけが息を吸い
「お二人の本丸を隣どおしに設置させていただきました!」
「へ!?」
『はぁ!?』
再び刀剣達は、今度は声を上げて驚く
何考えてんだこの狐。
一度がつがつと食事を食べてからごちそうさまをし、バタバタと全員外に出ると
マジだ、うちの本丸の隣にもう一軒建ってる。
向こうも今聞かされたのか同じ様に刀剣達が顔を出して困惑の表情だが
楓が顔を出した瞬間、朱里の顔が嬉しそうに花が咲いた。
「こんちゃん~ありがとねえ!大好き!」
近付いて来た人物が朱里を見つけて、微笑んでいるが
片手にこんのすけを掴んでいたので皆で察した
「本当に朱里の本丸と隣なのか」
「楓さんー!」
嬉しそうに楓に飛び付く主を見て。
まあ主が幸せそうならいいか、と各々食器を片付け始めた。
「貴様の様な奴に朱里はやらん!」
「膝丸、言い方が父親の様ですよ」
マイペースに食事を取っていた数珠丸に突っ込まれて、膝丸は少し凹む
「楓さんもご飯中だった?」
「まあ、大体ここと同じ様だったかな?」
後で、執務が終わったら遊びにいくね、とこんのすけを抱き締め笑う朱里を見て。
まあ、主が幸せならいいか、と皆で祝福した。
食器の片付け作業中だけど。
楓が朱里の光忠に苦笑いで謝罪すると
「うちの主は危なっかしいからね、楓さん頼むね」
朝っぱらから大騒ぎだったのは言うまでも無かった。