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私は貴方に恋をした

第1章 私は貴方に恋をした


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このまま、塞ぎ込んだままではいけない。

「皆に迷惑かけちゃう」

ぺちぺちと自分の頬を叩いて叱咤すると、本丸から歩いて来る1つの影に嬉しくなった
私を助けてくれ、守ってくれた、泣き疲れて眠るまでずっと側にいてくれた人

「楓さん!」
「朱里、もういいのか?」
「うん、このまま閉じ籠ってても仕方ないし」




三日ほど離れで震えていた朱里は少し無理をしてるなと気付いて
正面から抱き上げて離れの中で自分の膝に座らせるとキョトンとした顔で俺を見る
やばい、惚れたと認めたからか顔に熱が集まる

「楓さん?離れは薄暗いよ?明かりを点けようか?」
「あ、いや。何ともない」

彼女のオーラを見ても心配と不安と僅かに残る恐怖
ぎゅうと抱き締めれば真っ赤な顔で、嬉しい、恥ずかしいというオーラ

本当に素直なんだなとふわりと笑い、朱里の身体を密着させて頭を撫でる。

恐がらせたかなと思って顔を見ると。あれま、見事に真っ赤。

「不思議なんだよね、楓さんも男の人なのに」

あの人みたいに恐くないの。

すげえ、殺し文句だなと思いながら
朱里の向きを此方にまわして至近距離で見つめ合う。

「今度は酒なしで口付けしてやろうか?」
「へ?」

朱里を俺の胸に抱き締めて心臓の音を聞かせる
長く艶やかな髪を撫でれば困惑した心も落ち着いてきたようで

「ん、楓さんとなら…」
「…」

え、何か素直過ぎて滅茶苦茶可愛いんだけど。
内心悶えてたら朱里は首をこてりと傾げて

「楓さん、やっぱり私とのキスは嫌?」

この日の夜は押し倒しながら朱里の唇を奪い
頬に手を添えて子供の様なキスと大人のキスを交えながら

キスだけだけど、朱里の気持ちいい顔を堪能しまくった。

翌日、朱里を妹の様に可愛がってる膝丸と数珠丸に呼び止められて

「主を泣かす事は許さない」

数珠丸は膝丸の背後でくすくす笑って…

「分かってるよ」

良い笑顔で言ってやると悔しそうに執務を再開した朱里の方に戻って行った。

分かってる、もうあんな思いはさせない
次来る時はまた酒でも用意して持ってってやろうか…
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