第1章 私は貴方に恋をした
玄関にて2人で軽く睨み合ってると
朱里の居る部屋から「に"ゃー!」と言う叫び声が聞こえた。
何事かと思い部屋に戻ったら、あれま。軽い説教が始まって居たわ。
頬っぺたをこれでもか!と伸ばされてパタパタしている
「散歩に行くと言って出て行くのは良いが短刀の近侍くらい付けないか!」
「ごみぇんにゃしゃいぃぃ」
余り放っておくのも可愛そうなのでまあまあと宥め
今度はお詫びの品を持って来るねと笑う朱里に手を振って
お願いだから近侍つけてねと忠告したら頼りない返事が返って来てお兄さんは心配です
ふと自分の本丸に到着してから気付いた
呉羽さんから髪留め借りっぱなしだった!
只でさえ迷惑掛けまくったのに髪止め持って帰っちゃうとか私は馬鹿だ!
もう夕方だからこのまま戻って渡すのも忍びない
次の日即行お詫びのケーキ作ってああ…近侍は乱ちゃんに頼もう。
「え、主の手作りケーキ?いいなぁー」
「乱ちゃん、皆の分も作ってあるよ」
「わあい!主大好き!」
昨日迷子になってからこんのすけが呉羽さんの本丸のゲート作ってくれたんだよね。
髪止め良し、ケーキ良し、近侍良し、と
ゲートに入ってくと
「朱里?」
「昨日はお世話になりました、呉羽さん」
縁側でお茶を啜る呉羽さんに頭を下げて
お詫びにきましたと、にっこり微笑んだ。