第1章 私は貴方に恋をした
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朱里との下界デートを楽しんだ楓は執務室にて仕事をしていると
…覚えのある霊力が背後に立って思わず顔が引きつった。
「蛟サン、どうしたん?」
「昨日のうちにプロポーズすると思っていたのだがな」
蛟の視線はおもいっきりプロポーズ用に用意してるモノを凝視している気がする
こう言う事に蛟が割り込んで来るなんて珍しいと思う
「蛟、もし俺が朱里にプロポーズして一緒になったら、何かあるのか?」
じっと、核心を突いたであろう言葉にはぁっと珍しく蛟は溜め息を吐き
「なに、朱里が幸せになったら私は…我は用済みだ。ここを離れようと思う」
「なっ、朱里が悲しむだろ!そんな事言うと」
「朱里には常々言い聞かせている、それと」
まだ先があるのか?少し佇まいを直して聞く体勢に入ると
明石も丁度聞いてたのか、持ってきたお茶を各々に配り俺の横に座る
「鴉の名を持つ男、煌鴉と言ったか。奴に話したところ
今は審神者の居らぬ…ブラック本丸とやらに行かないかと話を持ち掛けられている」
「うわ、松本さん…」
何て人に審神者を任せようとしてるんだあの人。神が審神者になるなんて。
「あんたはその話を呑んだって事でいいのか?」
「まあ、そう言う訳だ」
「国は?」
「相模だ」
遠い。人間でも易々と行けない遠いブラック本丸に1人で?
こいつの実力は知ってる積もりだったが。
「心配か?」
「神に何心配しろって言うんだよ」
あんたが関われば最強なの分かってるわい。
「はよプロポーズして朱里を幸せにしろ」と
釘をぶっすり刺して奴は朱里の本丸の水の中へと帰って行った。
「幸せにしろ?んなこと分かってるし覚悟も出来てるんだよ」
茶をぐいっと飲み干して
問題はいつ決行するか、決めかねていた…