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私は貴方に恋をした

第1章 私は貴方に恋をした


41

執務が終わってすぐ、朱里は自分の長い髪を一房つまみ
じいっと見詰め、鏡を取り出しては唸る

「…どうした朱里」
「あ、蛟さん良いとこに!」
「?」

朱里の勢いに蛟は驚いて、思わず少し後ずさった。

楓がやって来たのはその約数十分後
珍しくこの時間に膝丸と数珠丸は道場に居たので来たぞと声を掛けると

「朱里は執務室だ」
「おう」

この2人がここに居るって事は朱里は蛟と一緒か
仲が良い兄妹だなと思いながら執務室に顔を出すと

朱里は蛟の膝に座り、何故か蛟が朱里の長く綺麗な手で器用に結っていた。

「ちわー、何してるの?」
「あ、楓さんいらっしゃい!」

声を掛けると朱里の嬉しそうな声に迎えられたが
髪を結われたので顔は固定されたまま

何やってるんだか、と隣に座ったら蛟が深い溜め息を吐いてきゅっとリボンを結ぶ

「朱里、我は結う事しか出来ぬ」
「何やってたの?朱里」
「んー、私っていつも下ろしてるかポニーテールだからイメチェンしたいなって」
「我には無理だ」

若干ゲッソリしてる蛟に苦笑い。
交代しろ、と言われて蛟の座ってた場所に座る

「楓さん?」
「こう言うの俺に聞けばいいのに」

ほら、と三つ編みしてからお団子に結いあげると
びっくりした顔で俺を見る

「意外?」
「ううん、納得しちゃった。ありがとう」

えへへと照れ臭そうに笑いあう2人に
蛟は馬に蹴られたくないと、気付いたら居なくなっていて

朱里はぎゅっと楓に抱き着いて胸に顔を擦り寄せ猫の子の様に甘え
楓もまた朱里の甘い匂いに包まれながら抱き締めた。
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